a lily
□close friend
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「おはよう沙柚!」
教室で1人本を読んでいた私に未弥は朝の挨拶に来てくれた。
顔が上気して「疲れた〜」と呟いているところを見ると、学校に来て鞄を置いてすぐこっちの教室に来てくれたのだろう。
「何の本読んでるの?」
「……秘密」
私は言いながら栞を挟み、本を閉じた。
せっかく未弥が来てくれたのだから。私は嬉しかった。
「隠さなくてもいいじゃんーねぇね」
「門崎さん!」
私に話しかけようとしているところを委員長に遮られた。
「今週は貴女、掃除当番なのよ。」
「ん?………えっ!?まじで!ご、ごめん…」
「まぁ、反省しているようだからいいです。…里見さんと違って」
里見、と聞いて一瞬未弥の笑顔が固くなった。
因みに言うと、なぜか奴らは付き合っていることをまわりに話さない。
もういいじゃんって言っても、「恥ずかしいから…」と中々打ち明けようとしない。
委員長は洋祐と違って、と言っていた。
昨日は、掃除を忘れて2人でいたの…?
そんなことを考えていたら視界の中央に未弥が現れた。
「いや〜参っちゃうな〜お掃除忘れちったよ!」
「……参ったのは委員長じゃない?」
「ぐっ…そ、そのとおりです…」
未弥は表情豊かで、見ているだけで元気になる。
1人で笑ったり、怒ってみたり泣き真似したり。
そしてそんな彼女は私が笑うのが一番好きだ。そう、言っていた。