a lily
□lilie
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あぁもう戻れない。
深い深い闇に向かって進んでいくのだ。
そもそもどこが始まりで終わりはあるのか、それすらも分からない、そんな闇。
だけど、半袖から出た腕にかかる柔らかい髪の毛に埋もれると闇の色が切り替わって、
ピンクや白の砂糖菓子のようなふんわりした世界になる。
私達はそこでお姫様ごっこをしたり、おいかけっこをしたりする。
そして疲れたら眠るのだ。
寄り添って寝ることもあるし、どちらかがどちらかに膝枕、なんてこともある。
見上げれば彼女のマシュマロのような白い肌が見える。
私の視線に気付いて、微笑みかける。
彼女のもとから茶色の眉毛がゆっくりと動くのを見て、私は安心して眠りにつく。
だけど、考えるのは彼女のことだけ。
私は、自分で言うのもなんだが、結構可愛い。
彼女はかなりの美少女だから、可愛いのと可愛いのとがくっついて、ソトから見たら凄い綺麗だと思う。
でも綺麗なのは見た目の可愛さだけのおかげじゃないのかも。
だって私達は、スワロフスキーのように澄んだ心を持っているから。
手をつないでお散歩して、
白薔薇を見て心から綺麗だねって言い合える。
お互いの頬に触れて可愛いねって言い合える。
私達の間には、依存しきっているようなどろどろした、変に甘い匂いのするものは流れていない。
基本私達は百合なのだ。
孤高の百合。
どちらかが死んでも大丈夫。
結婚したって大丈夫。
一番最後は私を選んでくれると信じてる。