頂き物
□この優しい空間に
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「サトウ」
「な…何ですか?」
「抱きたい」
ボッと、サトウの顔が真っ赤になる。
ブルブルと震えて、KKの腕から飛び出した。
「KKさんの…馬鹿─────!!!!」
今までに聞いた事のない大声を出して、部屋を騒がしく出ていく。
残されたKKは暫く部屋の扉を見つめていたが、やがてクツクツと低く笑い始めた。
誰にだって分かる、今の言葉が照れ隠しだという事を。
素直なサトウにとって精一杯の悪口。
それさえも愛しい。
「煽ってる事、気付いてんのか?」
きっと考えてもいないだろう。
それで様々な虫を寄せ付けている事も。
「お前も大変だな、ししゃも」
「なーぁ」
摺り寄ってきたクリーム色の猫を撫でる。
「俺があいつの事守れるようになるまで、サトウの事頼むぞ」
「うにゃっ!」
頭のいい猫だ、と笑いながら撫で続ける。
まだだ。
まだサトウを、この空間を守りきれる自信がない。
でも、いつかきっと。
サトウが寂しがらないように。
「待ってろ、サトウ」
扉の向こうにいる愛しい人に向かって、決意を言葉にした。
「…………………はい……」
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