頂き物
□この優しい空間に
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「あの…KKさん…」
「何だ?」
「何でいきなりこんな事になってるんですか…?」
こんな事とは、
「お前を抱き締めてちゃ駄目か?」
そんな事。
戸惑っているサトウを膝の上に座らせて、KKは抱き締めているのだ。
ぼんやりとしている時に、気付けばこんな事になっていて、多分混乱と恥ずかしさが混じっているのだろう、抵抗をしている。
「やっ…ちょっ……恥ずかしいですよぅ…」
「誰も見てないだろ」
「ししゃもが見てます!!」
「じゃあ見せ付ければいい」
「離して下さいぃ〜///」
抵抗にもならない抵抗を続けるサトウを無視して、彼の細身の体を益々強く抱き締める。
腕を介して感じる、サトウの暖かさと生きている証の鼓動。
ドク、ドク、と規則正しく動く心臓に、俺は生きてるんだなと、柄にもなく思ってしまう。
本当は、こんな暖かいものに触れるなんてしてはいけないのに。
自分には冷たい死体を抱くのがお似合いだから。
この行為の理由が、急に抱き締めたくなったからという事を知ったら、彼はどのような顔をするだろうか。
口を尖らせて怒る?
嬉しそうに微笑む?
恥ずかしそうに顔を赤くする?
それとも…?