長編小説

□sacred song【前編】
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見渡せば、街は輝いていて


樹に巻き付いてピカピカと点滅して光る電灯とか


ショウィンドウに飾られた暖かそうな服だとか


流れる音楽や街角にたってチラシを配る赤い服を着た人達


それに、街行く人の楽しそうな表情



12月

もうすぐ、クリスマス





「ぁぁ…そっか…もうそんな時期なんだぁ…」


緑色のスーツを着たサラリーマンがそれに気付いたのは仕事を終え、会社を出たときで

仕事で忙しく、ぼんやりしているとおいていかれかねない世の中の動き

皆が浮かれるクリスマスというイベントをうっかり忘れかけていたのは、クリスマスの随分前に、12月に入ると恋人と会えなくなる事を知ったから。



恋人は人気バンドのボーカリスト

クリスマスといえば毎年恒例らしいライブコンサートの準備や練習、増えるテレビの出演回数に会う機会は少なくなる。


「寒…」


ヒュゥッと通りすぎる風に首をすくめ、一人、いつものバス停に向かった。
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