短編小説

□夕暮れメロディー
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夕暮れの公園に音が響く

切なく、何処か物悲しいメロディー




「ねぇ、どうして貴方はいつも独りなの?」
「…父さんも母さんも、いなくなったから…」
「…そう」
「…」
「私と一緒ね」
「え…?」
「私ね、お姉ちゃんがいるの。何処にいるか分からないけど」



少し空を見上げると、夕焼けが目に飛び込んできた。

辺りの遊具もオレンジ色に染められている。

人気のない公園のブランコが、風に揺れてキィと鳴った。



「届くと、いいのにね」



ロッテはおもむろに肩に掛けたギターを手に取り、強く掻き鳴らした。




誰かに伝わればいい



遠くまで響いて、届けて



大切な人のところまで




「上手ですね」
「まだ始めたばっかりよ」
「遠くまで響きそうです」


そうかしら、とロッテは曖昧に肩を竦めた。


「もう帰らなきゃ。おじ様に怒られちゃう」
「そう…さようなら」
「さよなら」





静かになった公園に、響き渡るのはアコーディオン


空気を振るわせるように


遠く、響く






終わり
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