頂き物
□【世界価値感覚】
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幸せってのが何かまだわかんねぇけど…
アイツが俺に向ける表情、言葉が好きなんだ…─
【世界価値感覚】
血におぼれる感覚を決して忘れたわけじゃない。。。
忘れちゃいけない。。。
それは…罪。
呪いのような感覚。
「KKさーん。お久しぶりです。」
町中で声をかけられ振り向けば、陰りのない笑顔の幼いサラリーマンが目に入った。
「ぉー…久しぶり。」
なんだか気のない返事を返す自分。
それにさえお疲れなんですか?なんて聞いてくる相手。
「いや、そんなことねーよ。」
頭をかきむしるように撫でると、相手は、「子供扱いですか?」なんて上目使いで聞いてくる。
あぁ…お前なんて俺から見たら子供だ。
─何も知らないくせに笑う。
俺の仕事を知っても俺に笑いかける…
─何も知らないくせにっ!!
そう吐き捨てれば、泣きそうな顔するんだろ?
なのに…その後、笑うんだ。
それは俺に安らぎと、休息を、与えてくれる。
「KKさんっ!意識飛ばさないで、聞いてくださいよっ!!それとも僕と話すのそんなにつまらないんですか?おーいっ。お爺さんには早いですよ?」
そんな失礼なことを言って、可笑しそうに笑うから、サトウの頬をひっぱる。
「誰がじじいだよ?」
「たぱほのすぃふぎれすか?」
「何言ってるかわかんねーよ」
くしゃりと笑うと、サトウはじたばたと、手を離せーと、暴れる。
「はらして、くらさいっ」
「ん?離してくれってか?」
そう言って微笑めば、サトウは頭を縦に何度も振る。
それを見て笑いながら手を離すと、サトウはムスっとして、その後吹き出すように笑う。
それを見て俺もつられて笑うんだ。
あんたの笑顔が、
あんたの優しさが…
今、俺にとって一番価値のあるモノだ。
新しい煙草をふかし、サトウと共に、町中を歩きながら進み始める。
「煙草は体に悪いんですよっ!!KKさんっ!」
それを聞いて「俺だから良いんだよ」って、笑う。
するとサトウは何かに、気づいたように言う。
「そう言えばKKさん前に比べて…笑うようになりましたよね?」
綺麗に微笑んで聞く相手。
「そうか?」
相手の台詞に、悪戯っぽく笑いそう言って、空を仰いだ。
〜fin〜