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□あなたと風船
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†あなたと風船(L)†





「L、勝負よ!」

「…またですか…」

「何よその面倒くさそうなカオは!」

「これで今日7回目です。いい加減諦めたらどうなんですか」

「私の辞書に敗北という文字はない!」

「付き合わされる方の身を考えたことがありますか」

「必要ない!」

「………友達いなくなりますよ」

「あら。竜崎は友達じゃなくて仕事仲間だもん。だから別に平気」

「……全く口の減らない…」

「何か言った!?」

「……勝負って何をするんですか」

「何でもいいわよ!どんとこい!Lが決めて」

「…いいんですか」

「何よその顔」

「本当にいいんですね」

「Lが得意な勝負方法だって構わないわよ。ハンデくらいあげるわ!あたしって良い子!」

「いつも負けっぱなしの人にハンデなどもらいたくありませんが、お言葉に甘えて…」

「なににする?」

「……風船割り勝負で」






「……」

「大丈夫ですか顔色が優れませんね」

「やめよう?」

「往生際が悪いですね。ああ既に風船と針も用意してありますので安心してください」

「やめよう!?」

「ルールはもちろんどれだけたくさんの風船を時間内に割ることができたか。それで依存は?ありませんね」

「やめろ!」

「では私から行きます、よーい…」

「ぴぎゃああぁぁ!」









「いやぁあああ来ないで!来ないで!来るんじゃねぇー!!」

「貴女もおかしな人ですね、風船の割れる音がそこまで苦手ですか」

「ぎゃあああん!言いながら針近付けんなぁぁ!」







「ぜぇ…ぜぇ……あんた…性格悪いわよ…!」

「…人聞きの悪い」

「風船一個も割らずに針だけ近付けてあたしを脅して追い掛け回してるだけじゃない…!」

「ええ、勝負よりこっちのほうが楽しいので」

「…けろっと言うな!」

「怯える貴女も素敵です」

「真顔で何言ってんだ変態!そんなことすると、Lこそ友達だと思ってる子に嫌われるわよ!」

「構いませんよ。…貴女はお友達でもただの仕事仲間でもありませんから」

「何よそれ!」

「…解りませんか、本当に?」






「……わかんない!」

「そうですか…残念です」

「…って言ったら、Lは引き下がっちゃうの?」

「……」

「…あたしだって、その風船みたいに割れそうで割れない今の関係を楽しんでるの」

「………」

「解んないの?…L」

「…解りません」






ぐ、と針を持つ手に力を込める。貴女が怖いと嫌がっても、もう止めない。そんなことを言われたら、止められない。




そう、壊れても始まるものを、二人とも既に予感しているはずだから。



(覚めるような音の後でぶつかった瞳を、もう逸らすことなんて出来ないだろう。)





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