旧版権小説
□悲夜聖母
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仕方がないと分かっていても、自分の弱さが”死”というもので現れているような気がしてならない。
「………!」
そんな中、内ポケットの携帯が、小刻みな音と振動を伝えてきた。
無論、誰かと会話など遠慮したい気分だったが、綱吉は画面に表示された人名をみてその考えを打ち消した。
「もしもし、」
しかし皮肉にも、発せられた第一声は力のない声だった。
内心ヒヤッとしたが、彼――雲雀は少し間をおいてから、しかし特別気分を害した様子もない口調で答えた。
『何、…久しぶりにこっちからかけてあげたのに嬉しくなさそうだね』
「えぇ、今日はあまり気分が乗らないです」
すいません。
少し苦笑気味に言うと、『そうなんだ』と返ってきた。
どうやらかなり声に出ていたららしく。
何か思い当たってしまったようで、あぁ、とかすかに呟いたのが雰囲気でも伝わってきた。
『誰か死んだの』
やがてポツリと聞こえてきた言葉。
それは、"絶対"という確信を含んだ断言だった。
あぁ、何でこの人はいつも俺のことが分かってしまうんだろう。
続く