星の道しるべ

□20
2ページ/4ページ




「見損なったな。
怖気づいて姿を見せる事も出来ないとは…
しかし、いつまでも逃げおおせると思うな!」


ギャラクシアの声が響く。
それに、サン逹は物陰から姿を現した。
ちびちびムーンは物陰に隠れ、そっとその様子を見ていた。


「ふ、ようやく観念したか…」

「あたし達は諦めない…
絶対!」

『みんなの想いの分も、あたし逹は戦う!』


セーラームーンとサンが、強い口調で言い放った。

もう、諦めたりしないから。


「二人に賭けてみましょう…
プリンセスが言っていた希望の光」

「そう、彼女かもしれないわね…」

「伝説のセーラー戦士が残した希望の光、か…」


スターライツの言葉を聞いたギャラクシアの表情が歪んだ。


「伝説のセーラー戦士だと?
遥かなる太古から繰り広げられた光と影の戦い…
セーラーウォーズ。
銀河最強のセーラー戦士はカオスを己の体の中に封じ込め、銀河に平和を齎した。
そんな伝説があった事等、久しく忘れていた」


ギャラクシアの言葉に、サンは首を傾げた。
なぜ、ギャラクシアがこのことを知っているのだろうか。
なぜだかわからない。
だが、胸騒ぎがする。

すると、ギャラクシアが笑みを浮かべた。


「その伝説のセーラー戦士とは、私だ!!」


その真実に、セーラームーンやサン、スターライツは目を見開いた。

まさか、そんなこと…!


「私が銀河系最強にして伝説のセーラー戦士、セーラーギャラクシアだ!!
ははははははっ!」


最強のセーラー戦士は己の体内にカオスを封じ込めた。
そうするしかなかった。
それ以外、銀河を救う術は無かった。

そう言うギャラクシアに、サンは目眩を覚えた。

まさか、本当に…


「何を、言っているの…?」

「分からない…」


状況をうまく理解できないスターライツが呟いた。
ギャラクシアは、相変わらず笑みを浮かべたままだった。


「銀河には平和が戻った。
しかし、カオスを取り込んだ戦士は悟ったのだ。
頼れるものなどいないのだ、と。
銀河の未来は最強の戦士たる私自身の手で、新たに築いて行く以外に無いのだと!」


サンはその言葉に全てを理解し、力が抜けそうになった。

火球はずっと希望の光を探していた。
それを、スターライツも自分も信じていた。
しかしそれが、他でもないギャラクシアのことだったなんて…


「そして戦士は銀河に散らばる星々のスターシードを集め、徐々に勢力を拡大し全銀河を征服した!」

「まさか…!」

「まさか、伝説のセーラー戦士というのは…!」

「そう!
今や全銀河の支配者にして最強の、このセーラーギャラクシアの事だ!!」


一気に絶望の淵へと立たされたセーラームーン逹。
サンは拳を握りしめ、心を強く持てと自分に言い聞かせた。

大丈夫、大丈夫だ。
希望の光がなくても、大丈夫。
だって、セーラームーンの銀水晶や自分の持つシトリンもまた、希望の光と成りうる存在だから…!!

ギャラクシアが刺した剣から、膨大なエナジーが放出する。
それにサン逹は警戒し、ちびちびムーンはセーラームーンの足にしがみついた。


「本当に、それしか無かったの…?」


そのセーラームーンの静かな呟きは、ギャラクシアに届き、ギャラクシアは顔をしかめた。


「どうして…
どうしてみんな自分一人で解決しようとするの?」

『そうだよ…
みんなで力を合わせれば、誰も犠牲にならずに済む方法があったんじゃないの…?』


セーラームーンとサンの言葉に、ギャラクシアの顔が歪む。

届くように、そう願いながらセーラームーンとサンは言葉を繋ぐ。


「貴女も同じセーラー戦士でしょ?
それなら、分かり合える筈だよ」

『きっとわかりあえる。
貴女も、あたし逹も』


二人の言葉にギャラクシアは高らかに笑い、剣をセーラームーンとサンに向かって降り下ろした。
サンが咄嗟にセーラームーンを庇うように押し倒した。
それによって何とか剣を回避する。


「知っているか、星の最後を…
滅びを前にした人間共は先を争って逃げ出したり、仲間を裏切ったり…
自らも死を選んだりした」


ギャラクシアは剣先をスターライツへと向けた。
そして、笑みを浮かべる。


「ふふふ、お前の側にいるそいつ等とて同じだぞ!
プリンセス・マリナ!
セーラームーン!」


ギャラクシアの言葉に、サンとセーラームーンは目を見開いた。
スターライツも戸惑いを隠せない。


「そいつ等は母なる星を捨てた裏切り者…
お前はそんな奴等を信用出来るのか?
分かり合えるというのか!?」

「違う!!」

「違うものか!」


ギャラクシアの振りかざした剣から膨大なエナジーが放出し、スターライツを襲う。
スターライツはバッと跳んで、それを避けた。
しかし、ギャラクシアの攻撃は避けたものの、今の攻撃によってテレビ局が崩壊を始めた。
足場が崩れ始める。
すると、ちびちびムーンは崩れる足場に耐えきれず、雪崩と貸していた崩壊の渦に巻き込まれてしまった。
セーラームーンがハッとしてちびちびムーンに手を伸ばし、ちびちびムーンを抱き締める。
セーラームーンなら、きっと大丈夫だ。
サンはホッと息を吐き、自分も身の危険を感じて崩壊の渦から脱出した。






.
次へ
前へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ