星の道しるべ

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「諦めろ、大人しく出てきて私の前に跪け。
今暫く猶予をやる…
仮にもプリンセスならば、無様に無理矢理奪われる前に自分から姿を現せ!」


物陰に隠れ、サン逹は無言でギャラクシアの声を聞いていた。

セーラームーンの表情が暗い。
ちびちびムーンを抱き締めながら、セーラームーンが小さく口を開いた。


「ギャラクシアの言う通りにすれば…
まもちゃんやみんなにまた会えるのかな…?」

『!
うさぎ!!』


セーラームーンのその言葉に、サンはキッとセーラームーンを睨んだ。
唇を噛み締め、拳を握り、サンは何か言いたげな表情だったが、俯いてその言葉を飲み込んだ。
今口に出してしまえば、セーラームーンを責める形になってしまう。
そんなことしたくない。
そんなことがしたいんじゃない。

サンは一度深く息を吐くと、顔をあげて、セーラームーンを見つめた。


『うさぎ。
はるかとみちるがどうしてあんな戦い方をしたか、わかる?』

「っ、分からないよ…!」

『…そう。
じゃあ、ファイターに聞いてみたら?
ファイターは、きっとわかってる』


サンがそう言うと、ファイターは少し驚いた表情を見せた。
が、サンの切なそうな表情を見て少し頷き、口を開いた。


「最初は、あたしにも分からなかった…
仲間や、自分の命を捨ててまで何故?って…
それが彼女達の戦い方だから?
確かにそうかもしれない。
けど、でも、それだけじゃないって分かったわ」


そう。
確かにあれははるかやみちるがしそうな戦い方だ。
でも、はるかとみちるは、自分の命を捨ててでも、持っているものがあったから。

サンは微笑むと、セーラームーンを抱き締めた。


「…みんな、貴女を信じてるのよ」


ファイターの言葉に、サンに抱き締められていたセーラームーンがハッとした。

そう、信じていたから。
はるかもみちるも、勿論、せつなやほたる、レイ逹も。
みんなセーラームーンを信じている。
セーラームーンを、そして仲間を…


「貴女は不思議な人ね。
あたしは貴女達と一緒に戦う事は出来ないって、前は思ってた。
でも、今はこうして一緒に戦ってる…
よく分からないけど、貴女といると、人を信じてみたくなってくる。
貴女を信じてみたくなってくるのよ」

「だから?
だからみんな、あたしの前から居なくなっちゃうって言うの?
どうして…!?」


セーラームーンの悲しそうな表情に、サンは目を伏せた。


『いなくなってなんか、ないよ』


サンの優しい声に、セーラームーンは顔をあげた。
サンは微笑むとセーラームーンを離し、そっと頭を撫でた。


『レイ逹も、はるか逹も、みんなうさぎの側にいるよ』

「そう。
みんなが本当に消えてしまう時があるとしたら…
それは、貴女が諦めた時」

「でも貴女は絶対諦めないって、みんな信じてる」


サンの言葉に、スターライツが微笑んで繋げる。

そうだよ。
諦めない限り、みんなちゃんと側にいる。


「だから貴女に希望を託して…
ギャラクシアに降伏してみる?
楽になれると思うけど…」


そうファイターが尋ねれば、セーラームーンはちゃんと「嫌だ」と口にした。
それに微笑むスターライツとサン。


「そう言うと思った。
つまり、あたしも貴方の事信じてるのよね」

「あたしも」

「あたしもそうみたい」

『勿論あたしも、うさぎを信じてるよ』


サンがそう言えば、セーラームーンはちびちびムーンを片手に抱いたまま、サンに抱きついてきた。
それを受け止め、背中を擦ってやる。


「あかり」

『ん?』

「ありがとう…」


セーラームーンはそう言うとサンから離れ、立ち上がった。
サンも立ち上がり、セーラームーンと手を握る。

大丈夫だよ、うさぎなら…

セーラームーンは少し不安そうにスターライツを見つめ、口を開いた。


「ファイター、ヒーラー、メイカー。
あたし逹、友達だよね?」


セーラームーンの問いにファイターや微笑んで頷き、ヒーラーやメイカーも優しく微笑んで頷いた。
するとセーラームーンの表情にも微笑みが浮かぶ。
サンはセーラームーンと繋いでいない方の手を胸にあて、そっと目を閉じた。


みんな、頑張るからね…








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