星の道しるべ

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「レイちゃん…
レイちゃん、レイちゃん!!
みんなっ…!」


光となって消えていくマーキュリー達を、セーラームーンは「行かないで」と泣きながら言った。
それに胸が苦しくなる。


「まこちゃん!
美奈子ちゃん、亜美ちゃん…!
置いてかないでっ…!
あたしを一人にしないで…!」


泣くセーラームーンの頭を、マーズが優しく撫でた。
ハッとしてマーズを見れば、マーズはふわりと微笑んでいた。
温かい、セーラームーンを支える言葉を伝えるマーズ。
それを、どこか呆然として見ていた。
が、マーズの消え入りそうな声で名前を呼ばれ、サンはハッとしてマーズに駆け寄った。


「あかり、ごめん、ね…
最後ま、で…
守れなか、た…」


『っ、そんなことないっ…
あたしが、みんなを…
ごめんっ、ごめん、レイ…!』


守れなくて、ごめんなさい…

そう言うと、マーズはあきれたように微笑んだ。


「笑いな、さいよ…」

『っ…』

「あたしは、あんたの、笑顔が…好き、なんだ、か、ら…」


マーズの優しい言葉に、微笑みに、サンは涙を浮かべながらも微笑んだ。
満足そうにマーズが笑う。


「頑張って、ね…あかり……」

『っ、レイ…!』

「あんたな、ら…
きっ、と…」


そう言って微笑んだマーズは、光となって空に舞い上がった。


「嫌っ…
嫌ぁあああああ!!!」


セーラームーンが泣き崩れ、サンも声を圧し殺して泣いた。


「あんたな、ら…きっ、と…」


そうかな?
あたしに、出来るかな?
ちゃんと、プリンセスとしてみんなを守れるかな?
レイ…
あたしね、本当は不安なんだよ。
このまま、みんなを失っちゃうんじゃないかって…
でも、レイが言ってくれたから、あたし頑張るよ。
頑張るから、だから…

みんな、戻ってきてよぉ…




サンのブローチの芍薬…
白色の芍薬が、一瞬だけ輝いた気がした。


ギャラクシアは笑みを浮かべると、手の中で輝く4つのスターシードを見つめた。


「この手中にある光輝くスターシードを見よ。
美しいだろう?
一度にこれだけのスターシードを納めたのだ…
お前達にいいものを見せてやろう。
私の集めた真のスターシードの数々…」


そう言ったギャラクシアの玉座の後ろには、数え切れないほどの星の輝き…
スターシードがあった。
サンはその輝きの多さに絶句した。

こんなに沢山のスターシードが、星が奪われていたなんて…

そう思っていると、サンは一つのスターシードに目を奪われた。
美しく輝く、金色のスターシード…


『う、そ…』

「まも…ちゃん…?」


嘘だと思いたい。
だが、自分のよく知る星の輝きが、そこにはあった。
セーラームーンが…
うさぎが、ずっと恋い焦がれていた人の輝き…


「ほう?
この金色のスターシードに惹かれるとは中々目が高い…
コレはこの星を司るスターシードだ」


それが、答えだった。
この星、つまり地球を司るスターシード。
それは、前世では地球のプリンス、エンディミオンのことであり、今世では地場衛のことを指す。
そう、うさぎの恋人、衛のことを…


「嘘…
それがまもちゃんのスターシードなら…
まもちゃんは…
まもちゃんは…!」

「ふふふ、美しい。
地球を司るスターシード…
銀河の辺境に置くには惜しい程の輝きを放っているわ」


うさぎが会いたがっていた最愛の人、衛。
その衛との再会が、こんな形になってしまうなんて…

サンは唇を噛み締めた。


「この銀河に生きとし生ける者は、全てスターシードを持っている。
しかし、永遠の輝きを持つ者は星のエナジーを宿した戦士のスターシードのみ…」

『そして、星を司る者…』

「よく知っているな、太陽のプリンセス」


ニヤリと笑うギャラクシア。
サンはキッとギャラクシアを睨む。


「見るがいい!
私は全ての星のスターシードを手に入れ、全銀河の覇者スターギャラクシアとなるのだ!」

「酷い…
酷過ぎるよ!
そんな事に何の意味があるの…?
どうしてこんな酷い事をするの…!?」

「どうして、か。
そう言えば、このスターシードを持っていた男も同じ事を言っていたな」


ギャラクシアの言葉に、サンはハッとした。

このままでは、セーラームーンは…!

そう思ってギャラクシアを止めようとした。
だが、遅かった。
ギャラクシアは金色のスターシードを前に出し、セーラームーン達にそのスターシードを持つ者の最期を見せたのだ。

衛は、あかりにうさぎを頼むと言うこと、そして謝罪を述べていた。
そして最期の最期に、ただ愛しい人…
うさぎの名を呟いて消えてしまった。

映像はそこで消え、金色のスターシードは再びギャラクシアの手の中に戻ってしまった。








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