星の道しるべ

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「セーラー戦士とは星々の生まれ変わり。
そして、銀河早世の昔から、平和を脅かすものと戦い続けてきたのです」


そして、銀河の邪悪の根源、混沌…
伝説にして最強のセーラー戦士が、倒し、封じ込めた。
しかし、遙かな時を経て、今、混沌が再び銀河に現れた。


「再び、混沌が…?」

「それが、ギャラクシアなの…?」


火球の言葉を聞き、マーキュリーとマーズが尋ねた。
それに火球は悲しそうにうつむく。
あかりはそっと火球の服を掴んだ。
それにあかりを振り返り、火球は小さく微笑み、再度セーラームーン達を見た。


「ギャラクシアは、スターシードをことごとく奪い、全銀河を再び混沌の渦に引きずり込もうとしています」


銀河が混沌の渦に引きずり込まれれば、この星だって壊されてしまう。
生命がない星に…


「まだ望みはあります。
伝説の戦士が残した、希望の光さえあれば…!」

「希望の、光…」

「私がこの星をひそかに訪れたのも、その力を見つけるためだったのです…」

「そんなものっ、必要ありません!!」


ヒーラーの強い物言いに、あかりはビクリと反応してヒーラーを見た。


「貴女とあかりさえご無事なら、あたし達の星を取り戻すことなど、容易いことです!」

「戻りましょう。
私達の星へ…」

「プリンセス、あかり…!」


あかりはスターライツの言葉にうつ向いた。

ヒーラーの言葉も、メイカーの気持ちも、ファイターの願いも嬉しい。
でも、でも…


「希望の光が見つからない限り、混沌を封じ込めることはできません」


火球が首を横に振る。
それにスターライツが息を飲んだのがわかった。


「お願いします、セーラームーン。
どうか、力を貸してください。
私と一緒に、希望の光を探してください」

「随分と勝手なことを言うじゃないか」

『ウラヌス、ネプチューン…!』


そこにいたのは、ウラヌスとネプチューンだった。


「血のざわめきと、強いエナジーを感じて来てみれば…」

「よくもそんなことが言えたものね」


ウラヌスとネプチューンのキツい言葉に、あかりは唇を噛み締めた。

こんなんじゃ、何も変わらないのに…


「あたし達のプリンセスを侮辱するつもり?」

「おやめなさいっ!」

「っ、しかし、プリンセス…」


火球の制止の言葉に、スターライツは踏みとどまる。
火球が絶対である3人だからこそ、止まるしかないのだ。


「セーラームーン…
貴女方を信じています」


火球はそう言って微笑んだ。
火球の話が終わったと悟ったスターライツは、うつ向いたあかりを見た。
メイカーがあかりに手を差し出す。


「さぁ、あかり。
行きましょう」

「ちょっと待て。
あかりは僕達のプリンセスだ。
お前らには渡さない」

「あかりはあたし達のプリンセスよ!!」


メイカーの言葉に言ったウラヌス。
そのウラヌスにヒーラーが言い返した。
ファイターも立ち上がり、ウラヌスやネプチューンを睨む。
火球やセーラームーン達があかりを心配そうに見つめた。


「あかり、行くよ」

「あかりっ」


ウラヌスがあかりを強い眼差しで見つめ、ファイターがあかりの手を掴んだ。
その瞬間あかりはファイターの手を振りほどき、数歩後ろに下がった。
あかりの行動に、全員が目を見開いた。
ただ火球だけが、切なそうにあかりを見つめていた。


「あかり…?」

『………ごめんなさい。
あたし、ウラヌス達の方にも、スターライツの方にも行けないよ…』


言い返そうとしたウラヌスをセーラームーンが、ヒーラーを火球が制した。


『あたし、どっちも大好きだもん。
選べないよ…』


はるかとみちるは、両親がいない自分の親代わり。
はるかは沢山甘やかしてくれたし、みちるも沢山の愛情をくれた。
うさぎは誰よりも仲がいい幼馴染みだし、他のみんなだって大切な仲間。
色んな試練を一緒に乗り越えてきた。
スターライツや火球は、前世で自分に居場所をくれた。
転生した後も、ずっと自分を探して、守ってくれた。
かけがえのない人達。

どちらかなんて、選べない。


『あたし、ここにいるみんなのプリンセスなんだよね?
どうして、協力しようとは思わないの?
守るものも、倒すべき相手だって同じなのに…』


あかりの言葉にウラヌス達も、スターライツも視線を外した。
それに拳を握り、あかりは唇を噛み締めた。


『…だったら、守ってくれなくていい…』


ウラヌス達もスターライツも、わかってるはずなのに。
どうして、互いに向き合おうとしないの?
どうして、知ろうとしてくれないの?


『そんなバラバラで、ギャラクシアに勝てるわけない。
プリンセスを、この星を、銀河を守れるわけがない』

「なっ…!」

『協力することの大切さを、相手を知ることの大切さを知ってるのは、貴女達でしょ!?』


ウラヌス達だって、最初はうさぎ達を嫌った。
攻撃してきたことだってあった。
スターライツはマリナを監視したりしたし、名前だって最初は呼んでくれなかった。
でも、相手を知ることで少しずつ仲良くなれた。
協力しようと思えた。
知ってるのは、貴女達。


『今の貴女達に、あたしは守ってもらいたくない…
自分の身は、自分で守る』


そう言うと、あかりは走り去ってしまった。

追いかけることだってできた。
でも出来なかった。


「あかり、泣きそうだった…」


セーラームーンの呟きが、風に流されて消えた。







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