星の道しるべ

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『ん……
あたし…?』


気が付けば、そこは星野逹のマンションだった。
起き上がろうとすると、グラリと視界が傾いた。
体調が良くない。
何時だろうとケータイを開けば、ケータイにはメールが何件か来ていた。
内部太陽系セーラー戦士メンバー、そして外部太陽系セーラー戦士メンバーから来ていた。


『あ…
そうだ。
あたし、星野を…!
星野!』


ハッとして立ち上がれば、テーブルに置いていた手紙を見つけた。
手紙には「あかりへ」と書かれていたので、あかりはそっと手紙を手にした。


あかりへ

あかり、まずは俺を助けてくれてありがとな。
俺逹、これからコンサートなんだ。
あかりはプリンセスとしての力を解放した影響で、ずっと高熱が続いてたから、起こさなかったんだ。
内緒にしてたわけじゃないからな?
体調もまだ良くないだろうし、早目に帰るからゆっくり寝てろよ。

星野



『そんな…
星野だって、無理しちゃ駄目なのに…』


あかりは手紙をテーブルに置き直し、ケータイを再度開いた。
本当に、結構な時間眠っていたようだ。
うさぎ逹から心配のメールは勿論、みちるからの心配メールも沢山きている。


『、はるか…?』


はるかからは一件だけ。
不思議に思ってメールを読み、あかりは目を見開いた。


もうスリーライツに会うな。
あいつらは外部からの侵入者だ



『な、んで…』


どうして、はるかが知って…

そう思ってハッとした。
そうだ。
この前の飛行機の事件で、うさぎ達には星野達の正体がバレていたのだ。
うさぎ達が言ったとは言わないが、はるか達がうさぎ達の態度などから感付いたのだろう。
はるか達は元々勘が鋭いし。
あかりは複雑な気持ちで、みんなのメールを見た。
そして、うさぎのメールに手を止めた。


『うさぎ…』


あかりはブローチだけを手にして、外に飛び出した。












『うさぎっ!!』

「!
あかり!」


振り返ったうさぎは、こちらに走ってくるあかりを見て目を見開いた。
あかりはうさぎの前に走り寄り、クラリと体が傾いた。
それを慌ててうさぎが支える。


「あかり、大丈『星野が、うさぎを呼んだの?』


メールに書いてあった。
星野から、コンサートに来るように言われた、と。
星野があかりを庇って怪我を負った時、すぐに感付いた。
きっとこれを見た夜天と大気はうさぎ達をもっと否定してしまう、と。
夜天も大気も、星野も、仲間のことを凄く大切に思ってる。
そして、プリンセスである自分のことも。
あかりが危険な目に遭ったのは、セーラームーンを庇ったからだから。


「…うん。
星野が、今日来てほしいって」

『そっか…』


うさぎの言葉にあかりはほっとしたような表情を浮かべた。
星野から連絡したということは、星野はうさぎ達を敵だと思っているわけじゃない。
きっと、協力しようとしている。
それが嬉しかった。


「あかり、一緒に行かない?」


うさぎは観覧車を見た。
チケットを持っていないあかりとうさぎは、会場には入れない。
あかりは微笑むと、首を横に振った。


『あたしは、ここで待つよ。
行ってきて、うさぎ。
星野達の歌、ちゃんと聞いてきて』


あかりの微笑みに、うさぎは小さく頷いて観覧車に入った。
そんなうさぎに小さく手を降り、あかりはコンサート会場のある方向を見た。
遠くで光が散ってる。
コンサートが始まったのだろう。
ここからじゃ見えないけれど、伝わる。
星野の思い、メッセージが。
あかりはそっと目を閉じた。

大丈夫。
きっとわかりあえる。










『おかえり、うさぎ』


観覧車から降りたうさぎを出迎えたのは、微笑みを浮かべたあかりだった。
うさぎは微笑み返し、そしてあかりを抱き締めた。


「…星野達と、戦う必要はないんだよね?」

『うん。
伝わったでしょ?星野の思い』


そう言うと、うさぎは頷いた。

ちゃんと伝わったよ。

うさぎはあかりから離れると、いつものニッコリとした笑顔を浮かべた。
そして思い出したかのようにハッとして、あかりの肩を掴んだ。


「星野、倒れちゃったの!
やっぱり体無理してるみたいで…!」

『!』


それを聞いた瞬間、あかりは走り出していた。
その後をうさぎが追いかける。
ただ心配だった。
すると、向こうから歩いてくる人が見えた。









『星野!』

「!
あかり…!?」


星野は顔を上げ、駆け寄ってくるあかりに目を見開いた。
あかりは星野の前に来ると、あかりをキッと睨んだ。


『何やってるの!
こんなに無理して…
バカ!』

「人の事、言えないだろ」


星野は苦笑すると、あかりの頬にそっと触れた。


「お前こそ、大丈夫か…?」

『人の心配より、自分の心配をしてよ。
あんなに、酷い怪我だったんだから…』


あかりは頬に触れた星野の右手を両手で包んだ。
瀕死の状態だった星野。

あんな姿、もう見たくない。
失いたくない。


『生きてて、良かった…』


あかりの本当にホッとした表情に、星野も自然と優しい顔になる。
ありがとうと呟けば、あかりはふわりと微笑んだ。
その瞬間、叫び声が響いた。
それにハッとすると、あかり達の前にピエロが現れた。


「ほらほら、風船だよ」

『ファージ…!』


まさか、こんな時に…

あかりはグッとファージを睨んだ。
星野が変身しようと構えたが、ふらついて座ってしまった。
その時、ファージが風船を投げてきた。
咄嗟にうさぎの方に星野を突き飛ばす。


「っ、あかり!」

『がはっ…!』


ファージの攻撃を食らい、あかりは地面に叩きつけられた。
あかりは自分の体に鞭を打って立ち上がった。

星野を、守らないと…!


『サン・ピュアライトパワー・メイクアップ!』


3色の光があかりを包み、それが晴れた時、そこに立っていたのはセーラーサンだった。
サンを見て、うさぎもセーラームーンへと変身する。
すると、再度ファージが攻撃してきた。
サンはセーラームーンと星野の前に立つと、ロッドを構える。


『サンシャイン・リフレクター!!』


ファージの攻撃を防ぐ。
が、グラリと視界が歪み、サンは膝をついた。
やはりまだ体調が良くない。
が、ファージは攻撃を止めようとはしない。
サンは膝をついた状態ではあるが、再度サンシャイン・リフレクターを使った。
必死に耐えるサンだが、ピキンとリフレクターにヒビが入った。

このままでは…!

そう思った瞬間、ファージの風船を横から入った攻撃が吹き飛ばした。
よく知った技に、サンがハッとした。


「天空の星、天王星を守護に持つ飛翔の戦士セーラーウラヌス」

「深海の星、海王星を守護に持つ抱擁の戦士セーラーネプチューン」

「時空の星、冥王星を守護に持つ変革の戦士セーラープルート」

「沈黙の星、土星を守護に持つ破滅と誕生の戦士セーラーサターン」

「「「「我ら、外部太陽系4戦士、ここに参上!!」」」」

『ウラヌス、ネプチューン、プルート、サターン!』


そこにいたのは外部太陽系セーラー戦士だった。
再度攻撃してきたファージ。
それをネプチューンが飛び出した。


「ディープ・サブマージ!」


ネプチューンの攻撃で相殺されたファージの風船。
すると、ウラヌス達がサン達の前に立った。


「本当、困った子達ね」

「サン、セーラームーン!
大丈夫?」

「ありがとう!
助けに来てくれたのね」

「…勘違いしないでくれ。
こいつを助けに来たわけじゃない」


ウラヌスの厳しい言葉に、サンが眉を下げた。
それを見て、サターンがサンの肩を軽く叩いた。


「ウラヌス、来ます!」

「スペースソード・ブラスター!!」


風船をタリスマンの剣で壊すウラヌス。
それを見て、セーラームーンがロッドを構えた。


「シルバームーン・クリスタルパワー・キス!!」


セーラームーンの攻撃がファージに当たり、ファージは人間へと戻った。
サンは変身を解くと、星野を見つめた。

大丈夫。
いつか、きっと…


「もう会わないという約束だったはずです」


せつなの厳しい言葉に、うさぎもあかりも悲しそうな顔をする。
あかりは手を握りしめた。


「とにかく、この星は僕達の手で守る。
お前達は手を出すな」


あかりはキラリと光る自分のネックレスを見て、そっと黄色の指輪に触れた。

わかりあえるよ、きっと。
だって、自分がそうだったから。

あかりは星野を見て、そっと微笑んだ。
「ありがとう」と伝えるために。

大丈夫。
きっと、きっと、わかりあえる…







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