星の道しるべ

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『うさぎ…?』


新しいノートを買うために外に出たあかり。
ノートを買って家に帰る途中、道端にしゃがみこむうさぎを見付けた。
不思議に思いながら、あかりはうさぎに近付いた。


『何してるの、うさぎ?』

「!
その声はあかり―――……
どちら様?」


振り返ったうさぎは、後ろにいたあかりの格好にキョトンとした。
あかりはため息をつく。

あー、うん。
言うと思ったけどね。


『あたしよ、あたし』

「あ、やっぱりあかり!」


眼鏡を外たあかりを見て、うさぎは笑顔を浮かべた。
あのルナもあかりの格好にポカンと口を開けていた。


「ってかあかり、その格好…」

『あー…』


あかりは普段、ふわふわした服を好む。
ゆったりとした感じが良いらしい。
が、今の格好は男の子っぽくまとめている。
いつもはスカートの方が多いのだが、今日はショートパンツだし。
しかも、髪は右の高い位置でまとめ、眼鏡をかけていた。
あかりは目が悪くはなかったはず。
一体どうして…

うさぎが戸惑っている姿を見て、あかりは苦笑した。


『これでも変装のつもりよ。
この前のラジオ出演をしてから、更に名前が知れ渡っちゃってね。
コンクールから結構経つのに、変装しないとあたしだってバレちゃうのよ』


ただの買い物で追いかけられたくはないし、ピアニストとして活躍してるわけでもないのにサインを頼まれるのはちょっと困る。
でも、普段の格好で出るとすぐにバレるし。
だから、変装しなければならなかったのだ。


『で、あんたは何して「あー!!」


うさぎの突然の大きな声に、あかりは驚いたように肩を震わせた。

いきなり大声出さないで欲しい…


「お菓子の国が…!!」

『お菓子の国…?』


またこの子は訳のわからないことを…と、あかりは頭を押さえた。
ルナに視線を向け、あかりはしゃがんだ。


『うさぎ、何してるの?』

「いや、ちょっとね…
話すと長くなるわよ、あかりちゃん(汗)」

『ルナ、貴女も大変ね…』


前世からうさぎの側近だったルナ。
昔からうさぎのお転婆に付き合わされて、大変だっただろう。
あかりはルナの頭を撫でると立ち上がった。


『ま、見当はつくけどね。
大方、ちびちびちゃんがお菓子を貰って帰ってくるから、ちびちびちゃんの後をついて行けばお菓子の国があって、うさぎもお菓子が食べられる、とか思ってんでしょ』


ズバリと当てたあかりに、ルナは苦笑した。
流石、幼い頃からずっとうさぎと一緒だったあかり。
もううさぎが考えそうなことは分かりきっているのだ。


『ま、あたしも付き合うわよ、ルナ』

「面倒なことになると思うけど…?」

『そんなの慣れたよ』


一体何年うさぎのトラブルに巻き込まれてると思っているのだ。
数えきれないほどのトラブル。
ちょっとのことじゃ動じなくなった。


『それに、うさぎといると退屈しないもん』


微笑んであかりはうさぎを見た。
本当、見ていて飽きない。


「こっちの方だと思ったんだけど…」

『うーん、どこ行ったのかな…』


ちびちびはまだ子供。
高校生である自分達が見失うようなことはないはず。
まだ近くにはいるだろう。
あかりがキョロキョロと捜していると、突然うさぎの叫び声が聞こえてうさぎを見た。
うさぎはレイ、まこととぶつかって派手に転んでいた。
そんな姿に思わず苦笑。

だから、前を見て歩きなさいって言ってるのに。


「…っ、うさぎ!
こんなところで何してんのよ!?」

「ちびちび見なかった?
この辺で見失っちゃったんだけど…」


あかりはうさぎを引っ張り起こすと、下敷きになっていたルナを抱き上げた。
まことがそれを見て目を見開き、あかりを指差した。


「あかりちゃん…?」

『毎回思うけど、何でこうみんな同じ反応なのよ(汗)』


星野の時と言い、うさぎの時と言い…
あかりが眼鏡を外し、まことに事情を説明すると思いっきり苦笑された。


「あかりちゃんのイメージじゃなかったから、ちょっとビックリしたよ」

『よく言われる』


普段のあかりの服装なら、イメージがないのは仕方ない。
前世がプリンセスってこともあるだろうけど。
プリンセスの時はいつもドレスだったから。









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