星の道しるべ

□3
1ページ/3ページ




日曜日付き合えよ。

そう言われたあかりは約束の一之橋公園に来ていた。
ベンチに座り、星野が来るのを待つ。


『…おそっ…
自分の方から約束したくせに』


あかりが呟く。
すると、後ろに隠れているルナが頷いた。


「確かに…
せっかく星野君からデート誘われたのに張本人が遅れたらダメよね」






………………………ん?






『…デート?
デートって、誰と誰が何処で?』

「あかりちゃんが星野君とデートするのよ」


ルナの言葉を一つ一つ噛み砕き、あかりは真っ赤になった。

え、ちょ、そんなデートって…!
そんなの全く意識しないで返事しちゃったじゃん。


「こんなところで、何してるんだい?」

『はるか!』


顔を上げれば、そこにははるかとみちるの姿。

二人はこれからデートか。


「はるか、休日の公園にいるのはデートのカップルか鳩だけよ」

『鳩?』


何で鳩…?

あかりはそう首を傾げる。
と、公園には餌をつつく鳩の姿。

あー、そう言うこと(汗)


「デート?」

「よね」

『デ、デートって言うか…
せ、星野が今日付き合えって…』


星野の名前を出した途端、はるかとみちるの顔が険しくなった。

そ、そんなに警戒しなくても(汗)


「アイツ、女と見ては見境無しだ。
あまり気を許さない方が良い」

『はるか…』


あかりが悲しそうな顔をすると、みちるが笑った。


「はるかはモテる男が嫌いなのよ」

「おい…」

「大丈夫よあかり。
はるかは大切な娘をお嫁に出したくないだけだから」

『よ…!?//』

「じゃあね」


みちるは言うだけ言うと、はるかと腕を組んで行ってしまった。

ちょ、嫁とかなんとかいい逃げするな!
星野と顔合わせにくくなるじゃない!


「星野君って、そんなに悪い子なの?」

『悪い人じゃないよ。
本当は優しくて、頼りになる人なの。
自分から敵を作っちゃうだけなのよ』


あかりは空を見上げながら言った。

本当は、良い人なんだけどな…


『それにしても、遅いね』


何分待たせる気だ、本当に。

あかりはふぅ、と息を吐いた。
すると目の前で遊んでた子供の一人が転び、大泣きしてしまった。
あかりは立ち上がると、その子供に近付いた。


『こらこら、強い子は泣かないんだよ?』

「だってぇ〜、いたいんだもん〜」


あかりは微笑むと、その子供の頭を撫でた。


『泣いてると、皆と楽しく遊べないよ?』

「うん!」

『おー、偉いじゃん』


笑ったその子供に、あかりも笑顔を浮かべる。


「ハイパワー・ファイター・レーッド」


そう言って、子供は友達の方へ駆けて行った。


『が、頑張れー(汗)』


思わず苦笑。

でも、なんだろう…
こんなこと、前にもあったな。
あの時は、あの人が…


『……あの人…?』

「あっ、来たわよ」


ルナの言葉にあかりは考えをやめて、そちらを向いた。


「ごめん、待った?」

『すっごく待った!
もう、自分から誘っておい…
きゃっ!』


文句の一つでも言ってやろうかと思ったら、自分が躓いてしまった。
これじゃあ受け身が取れない。
来るであろう痛みに構えると、星野が支えてくれた。


「大丈夫か?」

『大丈夫。
ごめん、ありがとう』


そう言って微笑むと、星野は真剣な顔をした。


「……アレはやらないのか?」

『?
アレ?』

「ハイパワー・ファイター・レーッ『やらないよ!』


あかりは「バカ!」と言って星野の背中を軽く叩いた。

つーか見てたんかい。


「ま、行こうぜ」


そう言って笑った星野。
そんな星野に一瞬胸がときめいた気がした。

その後、あかり達は動物園やら遊園地やらいろいろ行った。
星野がピンクのくまを取ったけど、あかりにはくれなかった。
それに多少悪態をついてやった。

くれたって良いじゃんか。
子供っぽいんだから。

とかあかりが思ったのは内緒。









遊園地の後、星野に連れてこられたのは、暗い室内にカラフルな光と激しい音楽が流れるクラブだった。
正直こういう場所は来たことがなかったあかりは、物珍しそうに辺りを見回した。


「ボブ、奥の部屋借りるぜ」

「Ok」

「いくぞ」

『あ、うん』


星野についていく時、ふと上を見たら二階に大気と夜天がいた。

なるほど。
ここはスリーライツのたまり場か。

星野についていった店の奥には、VIPルームと呼ばれるであろう部屋。

初めて入った…


「さてと」


ドアを閉めた星野が息をつく。

しまった。
はるかとみちるにあんなこといわれたから、今さら意識してきちゃったじゃないか。

あかりは赤くなった頬を隠すように後ろを向いた。

ああもう、はるかとみちるのバカ!


「あかり?」

『ひにゃあああ!
み、耳元で喋んないで!(汗)』


インターホン押すために近付いたのは分かるのだけど、耳元で言われたらびっくりするし、心臓が持たない。

ああもう、本当にはるかとみちるのせいだ!


「?
なんか飲むだろ?」


わかってる。
星野がそのためにインターホン押そうとしたのはわかってる。
けど緊張するものはするのだ。


「何緊張してんだよ」

『き、気にしないで…(汗)』


星野は悪くないから、うん。

あかりは頭を抱えた。


「さてはお前、はじめてだな?
大丈夫、俺がリードしてやるって。
さいっこうに気持ちいいぜ…?」


あの、さ。
わかってるんだよ。
わかってるの。
そこまでバカじゃないから。
でもさ、でも…
そういう言い方されると困るのよ!

頬が赤くなったのは、仕方ないでしょ…?(汗)






.
次へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ