星の道しるべ

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ねぇ、神様…
あたしは、何か悪いことをしましたか?
神様を怒らせてしまうようなことをしましたか?
もししていたなら、ごめんなさい。
もう神様を怒らせたりしません。
困らせたりしません。
良い子でいます。
だから、だから、どうか…


王国を、太陽国を助けて…!







あたしは、自分の部屋で怯えていた。
太陽国に侵入者が入り、襲撃に合ったの。
外ではセーラー戦士達が戦ってる。
でも、不意をつかれた太陽国は、押されていた。
大好きなぬいぐるみを抱いて、あたしは体を震わせる。

あたしは、太陽国のプリンセス。
前にお母様が言ってた。
あたしは太陽のプリンセスだから、敵に狙われることもある、って。
もしもこの城の中に敵が来たら、もしもあたしが捕まったら、どうなるのか検討もつかない。

怖い…
聞こえる悲鳴が、あたしを更に恐怖に陥れる。


「マリナ!」

『!お母様!』


あたしの部屋に勢いよく入ってきたのは、あたしのお母様。
この太陽国のクイーン。

お母様はあたしを優しく抱き締めてくれた。
ああ、お母様にこうしてもらうと落ち着く…


「マリナ、よく聞いてください。
太陽国は、今とても危険です。
貴女は、死んではいけない」

『お母様…?』


一体、何を言っているのですか…?


「マリナ…
この太陽国から逃げなさい…」

『!?』


あたしは目を見開いた。

太陽国から、逃げる?
あたしが?
あたし、だけが…?


「貴女を殺されるわけにはいかないのです。
私の友人に連絡はしてあります」

『ま、待ってくださいお母様…!
嫌です、あたしっ!
お母様もお父様もいないなんて…!』


嫌だ。
一人になりたくない。
嫌だよ、お母様…!


「…場所は、ここから遠く離れた星、キンモク星。
そこのプリンセス・火球は、貴女を受け入れてくれます」

『お母様、あたしは……っ』


あたしが反論しようとすると、お母様はギュッとあたしを強く抱き締めた。
そしてあたしの目を真っ直ぐ見つめた。


「貴女を、失いたくはないんです。
わかってください、マリナ」


何も言わず、俯いてしまうあたし。
そんなあたしを見て、お母様は微笑んだ。


「大丈夫。
私もキングも、死にませんよ。
また会えます。
ね?」

『………は、い……』


あたしがそう言うと、お母様はあたしの頭を撫でた。


「セーラーソル、マリナをお願いします」

「はい、クイーン」


あたしはあたしを守護するセーラー戦士、ソルに手を引かれて城から逃げ出した。

あたしは走りながら、チラリとソルを見た。
ソル、あちこちに怪我をしてる。
戦ってたんだね…

あたし達が着いた場所は、城の裏の森の奥にある、クリスタルの場。
ここ、お母様意外は来ちゃダメって前に聞いた場所だ。
魔方陣みたいなのが地面に描かれてる。
その中央に、大きなクリスタル。


「プリンセス、あのクリスタルに触れてください。
そうすれば、キンモク星に行けるはずです」

『え…
ソルは、来てくれないの…?』


そう言うと、ソルは眉を下げて頷いた。

ショックだった。
ソルは、一緒に来てくれると思ったから…


「そんな顔なさらないでください、プリンセス」


苦笑するソル。
あたしは無理矢理ソルに笑みを向けると、クリスタルに近付いた。
その時だった。
敵が、ここまで追い付いてしまった。


「!
こんなところまで…!
プリンセス、行ってください!」

『ソ、ソル…!』


敵は5人。
ソルは囲まれながらも、必死に戦ってる。

ソル…
ごめんなさい…

あたしはクリスタルに手を伸ばす。
その瞬間、あたしのことを後ろから来た敵が捕まえてしまった。


「太陽のプリンセス、お前のシトリンを渡せ!」


首を絞められ、あたしの足は宙に浮く。
意識が遠退く。

ヤダ、死にたくない…!


「プリンセス!!」


ソルの鎌があたしを締め上げた人の背中を切り裂き、あたしはなんとかその敵の手から逃げ出せた。

ゲホゲホと噎せる。
息が苦しい。


「プリンセス!」


ソルはあたしをバンッとクリスタルの方に押した。
あたしの体がクリスタルに触れる。
あたしの体が消えるその一瞬、あたしは見てしまった。
ソルの胸から、背中から突き刺さった剣が貫通して見えていたことに。
そして、ソルの体から、口から血が溢れて、体が倒れる瞬間を…


『っ、いやぁあああああああああああああああああ!!!!!!!』





神様、あたしが何をしたと言うのですか…








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