Song

□名もない歌
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名もない一人の少女
ただ一人ぼっちで
空を見上げて思い馳せる
生まれたその理由を
知ったその時から
少女は心を閉ざしていた

悲しいことも
苦しいことも
弱音吐くことも許されない

奏で 歌い
少女は歌う
絶対的なその力で
この世の全て呑み込んで
一人 一人 一人 一人
泣いていた
感情全て
全て圧し殺して
無表情で翼広げて
ただ白いその輝きを
たった一人背負うんだ


空に焦がれていた
釣り合わないと知りながら
だけど少女は求めていた
空のために広げる
翼は歪んで
少女を蝕み苦しめた

それでも歌う
少女は歌う
空を守る
その思いだけ

知らない誰も
みんな知らない
少女が一人で背負うもの
翼 歪み崩れて行く
旋律もしだいに薄れてく
それでも止めない
少女は止めない
空の輝きがある限り
その花を燃やし尽くして
闇に消えて月となるその日まで


闇が少女を捕らえ
白の光を奪い取る
歌う力を失って
花が散ってしまうとき
空は手を取った


空は笑う ただ笑う
少女の小さな手を握り
暖かい手のその温もりに
小さな白の羽が舞う
少女は歌う 救いの歌を
空を守る天使の歌を
応えるように
月が光った
白の翼が羽ばたいて
名もない少女はただ歌う
世界と空を守る
名もない歌を





【夜空のシンフォニー】

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