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□求めたのは君だけでした
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※弟静雄×姉臨也。
「華焔乱舞」の珠呂様より頂きました!



「ただいま」

返事がくるはずがないとわかっていても、習慣からつい言ってしまう。教科書の類いが全然入っていないカバンを投げ出して一目散に自室へ向かった。

両親は今日古くからの友人の結婚式に行くとかで留守にしていた。離れたところらしくて帰ってくるのは明後日らしい。
この家に住んでいるのは俺と両親の三人だけだ。俺を一人残すのは心配だからと、今は新宿で一人暮らしをしている姉が来てくれる手筈となっていた。
姉の臨也と会うのは正月以来だった。あいつは盆と正月くらいしかろくに帰ってこない。

臨也がくる前に部屋を片付けておこう。そう思いながら開けた部屋の中では、俺に向かって尻がつき出されていた。

「……あ?」

ショートパンツに包まれたプリッとした尻が俺の視線を釘付けにする。そこからのびたスラッとした足はニーハイソックスで覆われていて、俺はエロゲの世界にでも入り込んでしまったのかと思った。
しかし問題はそこではない。なんで部屋にこいつがいるんだ。こんな不法侵入女、間違いなく臨也しかいない。しかもベッドの下を漁ってるときた。

「おい手前人の部屋で勝手に何してやがる!」
「こーら、麗しのお姉様に手前とか言うんじゃないの。せっかく弟の成長記録を見てあげてたのにさぁ」
「ああああああああああ!?」
「人妻とかOLとかそういうのばっかり。あと巨乳系?ほんっとシズちゃんってわかりやすい趣味してるよね」

俺の愛用のエロ本を掲げて向き直ったのは、久々に見るも正真正銘臨也だった。にやにやとムカつく笑みを顔に張り付けるその姿は、姉とはいえめちゃくちゃにぶん殴ってやりたい。だがかないそうにもないためやめておく。

「ずいぶんくるの早いじゃねえか。夕方くらいにくるとか聞いてたんだけどよ」
「仕事が暇でさ。それに可愛い弟にはやっぱり少しでも早く会いたいものだろ?」

エロ本をベッドの下に戻して臨也は真正面から抱きついてきた。スキンシップが過度なのはまだ直っていないらしい。
臨也の胸がふにゅふにゅと潰れてかなりきもちいいものの、下半身的にはとても危なかった。下半身の熱を静めるためにも、近所の寿司屋のロシア人店員の顔を思い浮かべて必死に耐えた。

「シズちゃんと会えるの嬉しいなぁ。また背伸びたんじゃない?」
「まぁな……、手前もうちょっと頻繁に帰ってこいよ。母さんたちも寂しがってるし」
「そうしたいんだけどなかなか都合が合わなくてね。ああ、今日明日はもう完全オフにしたから安心してくれていいよ」
「わかった。わかったからそろそろ離れろ」

ごめんごめん、と離れた臨也を改めて見ると姉という贔屓目無しに綺麗だった。小さい頃から俺はこいつに見とれてた。歳の離れた姉弟だから自然と臨也が俺の面倒をみることが多く、俺はいっつも臨也の後を引っ付いていた。

「どう?久しぶりに会ったんだし一緒にお風呂でも入ろうか?サービスで背中流してあげてもいいよ」
「悪質な冗談はやめろ」
「昔はあんなに喜んだのに大人になっちゃったんだねぇ。むしろ大人のほうが喜びそうだけど。俺と一緒にお風呂入ってて精通したの忘れちゃった?」
「うるせぇええええええ!!」

思い出したくもない黒歴史。たしか小学校高学年の頃だった。そのくらいの年頃になるとエロいことを考えるのも当たり前になってくる。そんなときにムカつくことに美人でスタイルのいい姉の裸体を見せられたとなると、勃起してタイルを白濁で汚すのも無理はなかった。

俺の部屋には座布団くらいしかないから臨也はベッドに腰をおろす。古くなっているベッドはそれだけで軋んだ音をたてた。
「ねえシズちゃん、彼女とかいたりしないの?」
「いねえよ」
「へー、せっかく俺に似て顔はいいのにね。俺はいるよ、彼氏」
「……へえ」

こいつはもう23歳だ。彼氏がいたっておかしくない。それなのにツキンと胸が痛んだ。

「波江さんっていう俺の秘書なんだけどさ、綺麗だし仕事もできるし家事もできるし最高なんだよ。ちょっとブラコンだけどそれは俺も他人のこと言えないから許容範囲だし」
「……臨也、それ」
「ん?これ?」

見なきゃよかったはずの左手が見えてしまった。薬指に光る指輪。これが意味することは俺だってわかる。臨也は照れくさそうに左手をあげて俺に見せた。

「婚約指輪だよ。母さんも父さんもいるときに言いにこようと思ってたんだけどさ、波江さんと結婚するんだ」

何かが壊れる音がした。目の前が黒くなったり赤くなったり忙しない。頭ががんがん鈍器で殴られているような気がする。
腹の内に沸き上がる欲望を抑えることなんてできなかった。

「そんなの許さねえよ」
「……え」
「手前は俺だけのものだろうが!」

組伏せた臨也の怯える顔が見たくなかった。目をとじて乱暴にキスをする。

悪いのは全部、臨也なんだ。







これがいけないことだという自覚はあった。もう婚約者がいる相手と性行為をすることも、それ以前に姉弟だということも。
しかしそんなことどうでもよかった。俺は今、姉を犯している。

「あ、っう、う……ふぇ、もう、やだ……ぁ」

臨也は涙と汗で顔をぐしゃぐしゃにしていた。いつもは強い光を宿す瞳も今は虚ろになっている。無理もないだろう。結合部からは泡になった精液が溢れている。溢れるまで中に出して、一度も抜くことはなかった。
ここまでしたらきっと妊娠してしまうだろう。してしまったらいいのにと思う。そうしたらもう結婚なんてできないはずだ。

「臨也……波江ってやつよりずっといいだろ?手前は弟のちんこでよがってりゃいいんだよ」
「ひっ……おれ、したことない……!波江さんと、こんなことしたことないよ……っあぁ!」
「婚約してるのにか?嘘つくんじゃねえ!」
「やぁあ!痛い……痛い!」

揺れる胸を跡がつくくらい乱暴に揉みしだく。柔らかくてほどよい弾力をもつこれに触れたやつが他にもいるのかと思うと、そいつをぶん殴ってやりたくてたまらなくなった。こいつは小さい頃から俺だけのものなのに。

誰よりも長い時間を共にしたのは俺なのに。
腰を掴んでぐんっとより奥まで突き進むと、臨也は背中を仰け反らせて痙攣した。先端がつっかえてこれより先に進まない。無理にぐいぐい押していると臨也は怯えたように俺の腕に爪を立てた。

「そこ、それ以上だめだから……!子宮壊れるからぁ!」
「子宮……?」

子宮ってなんだっけ。……たしか子を宿すところだったような気がする。つまり詳しくはわからないが、子宮が壊れればこいつは誰の子も生めなくなるはずだ。

「おい臨也、選ばせてやるよ」
「な、に……?」
「結婚するのやめろ。結婚するなら子宮ぶっ壊してやる。しないなら何もしねえけど……どうする?」

臨也はきょとんとした顔をして数秒後、唐突に声を上げ笑い出した。さっきまでのか弱い態度が嘘みたいだった。

「シズちゃん、君って本当にからかいがいがあるよ。まさかこんなことされるとは思ってなかったけど」
「あ?」
「床に俺の携帯落ちてるから開けてみて」

何がなんだか全くわからないが、とりあえず言われた通りに拾ってみる。挿入したままだったため臨也の中を強く擦り、臨也は甘く喘いだ。さっきよりも心なしか気持ち良さそうな気がする。

携帯を開くと臨也と髪の長い美人が待ち受けだった。これがどうしたというんだろうか。

「誰だよこいつ」
「波江さん」
「……は?」
「矢霧波江さん。俺の秘書。女性。おわかりいただけただろうか」

どういうことだ。

頭の中がこんがらがる。気が抜けて性器もずるんと臨也の中から出てしまった。
この女が波江ということは、波江が女ということは。結婚するだなんて嘘だということが明確に示されたということだった。

「あはは名前出したからすぐ気づくと思ったんだけどなかなか気づかないものだねぇ。久々に会ったんだしちょっと驚かせてみたかったんだけど、こんなにうまく引っ掛かるなんて」
「て、め、え、なぁぁぁああああああ!!」
「ごめんごめん、怒らないでよ」

細い腕に抱き締められる。汗ばんだ肌がくっついて、濃密な性の匂いがした。改めて自分が一時の感情だけで姉とセックスしたのだと知らされた。

「わ、悪い!」
「ん?」
「姉ちゃんにこんなことして、えっと……責任はとる!」
「とれないだろ姉弟なんだから」
「じゃあ今からすぐかき出せばまだ……」

体を離して足をひっくり返すと、赤く色づいたとこから呼吸に合わせて精液が漏れていた。

モザイク越しじゃない性器に喉をならすも、そうしていい場合でもなかった。
慌てて指を入れようとする俺の手を臨也が遮る。首を横に振っていた。

「大丈夫。ピル飲んでるからそんなに焦らないで。今シズちゃんにかき出されたら精液だけじゃなくて内臓も出そう」
「う……」

返す言葉もない。俺もさすがに落ち込んでしまう。

「でも嬉しかったよ、姉ちゃんって呼んでくれたのも。あとシズちゃんの気持ちがわかったのも」
「……あ?」
「俺のこと好きなんでしょ?家族愛じゃなくて、恋愛対象として」
「…………おう」

顔を合わせているのが気まずくて頭を伏せる。と、その頭に強烈な肘鉄がくらわされた。

「痛ェじゃねえかおい!」
「らしくないよ、顔あげな」

小さな袋が投げられる。反射的に掴むと中から鍵が出てきた。

「これ……」
「俺の家の合鍵。たまにおいでよ。今度は優しく抱いてね?」
「は!?え、ちょっ……臨也!?」
「あっはははははは!お風呂借りるねー、覗いちゃやだよ?」

臨也はひらひら手を振って部屋を出ていった。やっぱりあいつにはかなわないと手の内の鍵をぎゅっと握りしめた。





end

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