頂き
□今は咲かないその華は・・・
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一輪の花が咲こうとしている。
いつからそこに生えていたのかはわからない。
それでも、ゆっくり時間をかけて生えてきたらしく
その場所に強く根をはっている。
恐らく、抜こうと思ってもそう簡単には抜けないのだろう。
・・・それなのに、その花の蕾は固く閉ざされていて
一向に咲く気配は見られない。
見事に咲き誇ったのならきっと、どこに咲いている花よりも美しいはずなのに。
でも、何故かその花が綺麗に花開く事を望めない自分がいる。
この花は開くべきじゃない。
この花は咲かせちゃいけない。
・・・そう思うのに、その蕾を見ているとひどく心が安らぐ。
優しい甘い匂いが心に広がるようで。
その花の名前は何だろう?
今は咲かないその華は・・・