捧げモノ

□梔子〜クチナシ〜
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 あっこんなところに綺麗な花が咲いてる

出稽古の帰り道に見つけた一輪の花。

玄関にでも飾ろうと、摘み取る。


「それは梔子の花やね」

帰り道、たまたま出会った妙が言うには

梔子と言う花で花言葉は『喜びを運ぶ』だそうだ。

「へーそんなのがあるのね」

「そうなんよ、もしかしたら薫ちゃんにもなんかええ事あるかも知れんなぁ」

企み笑顔を浮かべる妙と別れると、薫は家路を急いだ。



「おかえり、薫殿」

”ただいま”と言う前にお帰りと言われた、ただそれだけの事が。

 …なんか悔しい…。

「おろ?その花はどうしたでござるか?」

剣心は薫の手を指さして言う

「え?…あぁ、これは帰りの途中で…」

大方の説明をすると薫の手荷物をヒョイッと持ち上げて

「そうでござったか、では花瓶を用意しなくてはな…
風呂は沸いているから、入って来るでござるよ」

「うん」









薫が風呂から上がると剣心が井戸のふたを閉めていた。

「何で閉めてるの?」

「あぁ、今夜は酷い雨になるから…。」

「え゛?」

「いや、だから酷い雨が…」

 …。

薫は剣心の話を最後まで聞かずに自室に向かって早歩きで去って行った。

「か、薫殿?」

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梔子

幸福者・喜びを運ぶ

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