短編

□What I need 1
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ずっと一人だった

クラスでも一人、部活でも一人

一人じゃない時は家族と居る時ぐらいだった

一人、それでいいと思ってた















中学を卒業して高校に入った。
今日はその入学式が終わり2日目になった。

クラスには馴染んで誰かと笑い合っている人が多い。

近寄りがたい雰囲気を出しているせいか、愛想が悪いせいか、知らないが
俺には誰も話しかけてこなかった。

もう慣れてる。一人の方が楽でいい。
俺はそう思った。
学校なんて交流場じゃない。
ただ勉強して飯食って勉強する所だと俺は思ってた。


「――ほら、あいつだよ、ロロノア・ゾロ」

「中学の時に暴力事件起こしたり、学校じゃかなりの問題児だった奴だろ…」

「あいつ剣道の全国大会で優勝したらしいぜ…だから誰も近づかねぇんだよな…おー怖ぇ」


全部聞こえてる。
クラスで誰かが俺の事を話してるのが聞こえた。

暴力事件ってのは、巻き込まれて罪被せられただけだが、
それ以外は否定できない。



休み時間終了のチャイムが鳴った。

次の授業は…国語か、面倒だな…休むか。

俺は席を立って屋上へ向かった。
席を立った時いくつかの視線を感じたが、気にならなかった。
どうせいつもの事だ。

その時俺は気付かなかった。

いくつかの視線の中の一人が、俺の後を追ってきている事に…







屋上の重い扉を開け、立ち入り禁止と書いてある看板を跨いだ。

そこには、いっぱいの青空と街並みが広がっていた。
屋上はいい場所だ。ここに居ると嫌なことも全部忘れられる気がする。

俺は日当たりのいい場所に寝転がり空を見た。
寝ようかとあくびを欠いて、目をつぶった。

数秒経った時、声が聞こえた気がした。



「おーい、寝てんのかー?おいってばー」



やっぱり聞こえるすぐ真上だ。
太陽の光がさえぎられて目の前が暗い。
まぶたの裏からでもわかる。


「誰だてめぇーは!」


俺が勢いよく起き上がると、鈍い音がした。
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