涙の理由

放課後、誰も居ない教室で私はピアノを弾きながら泣いていた。
私が声をあげずに泣いているとピアノの音に気づいたのか真斗くんが教室に入ってきた。
私と目が合う真斗くん
「ハル…お前泣いているのか?」
心配そうに尋ねてきてくれた真斗くんに対して私は
「な、何でもないんです!」
と答えた。
本当は何でもなくなんかなかった……。
夢の為に真斗くんの為にもこの好きという感情は捨てようと決めていたのに……
この感情を忘れようとすると忘れなれなくて
それほどこの人のことが好きなんだと思うとなんだか悲しくなってきて泣いてしまった。
「どうして泣いているんだ?」
心配そうにたずねてきてくれる…
「……………」
私が黙ってしまうと真斗くんは私に近づいて来て後ろからギュッと抱きしめてくれた。
真斗くんのにおい、体温、心臓の音…
とっても落ち着いて心地よかった。
何より安心感を与えてくれたのは真斗くんの声だった…
「ハル…」
愛おしい人にそんな風に呼ばれたらもう感情をおさえつけられない…
「……好き……」
気付くと私はそう言ってしまっていた。
どうしよう……
真斗くんの方を見ると、とても驚いた表情のまま動かなくなってしまっていた。
「あ、あの真斗くん?」
私が恐る恐る声をかけてみるとふと我にかえったように
「あ、ああ」
と返事をされてしまいました。
ど、どうしよう!?
やっぱり困ってるよね…
私は真斗くんと目が合うと林檎みたいに真っ赤なほっぺたになってしまいました。
こ、こんな時はいったいどうすれば…
私が口をパクパクさせながら真っ赤になっていると
私の顔を見たのか真斗くんが笑いだす。
「まったく…お前は本当に可愛いやつだな……」
私は首をぶんぶんと横に振った。
しばらくの間沈黙が続く…
私が困っていると
「好きだ…ハルのことが大好きだ…お前を愛しているんだ」
と言ってくれた…
私は嬉しくて
「私も真斗くんが大好きです…愛してます。」
と言い返す。
ああ〜、なんて幸福者なんだろう。
なんて浮かれてる間に
「キス…してもいいか?」
と問いかけられてしまって、突然のことに驚き私は
「へっ!?あ、はいっ!!」
と答えてしまいました!

キスだなんて!!
ドキドキしすぎて死んじゃいます〜

2人の距離は徐々に縮まって行き…
真斗くんの顔がこんなに近くに!
はうぅ、ドキドキします!
ドキドキしすぎて私は目をつむってしまいました。

そして気づいた時にはもう互いの唇は重なりあっていた…

表紙を開く

解説を読む

作者に感想を送る

[TOPへ]
[カスタマイズ]





カスタマイズ