小説

□迷惑も利用次第
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放課後となり、部室に向かう鏨がその事に気付いたのは一目見た時だった。

何やら、部室の前に行列が出来ている。

行列といっても、もちろん並んでも入りたいラーメン屋ほどではない。

だが10人並んでいるんだから、ただの列には見えない。

しかも10人全員がヤンチャしていそうな外見だ。というかヤンチャしてるに違いない。

ほぼ全員見覚えがあるところを見ると、同じ学年だろう。

(どうしよう…入るに入れない)

行列を困って見ていると、行列の最後尾が鏨に気付いたようだ。

「あぁ?何だお前。」

「い…いや僕は」

ーそこに入りたいんです

とは言えず、何と言えばいいかと悩んでいると、そのヤンキーは何やら勘違いをしたらしい。

「お前も雅さんに志願しに来たのか?」

「…はぁ?」

「やめとけ。お前みたいな軟弱な奴、会った瞬間にぶっ飛ばされるぞ」

「………はぁぁ?」

何の事だかさっぱりだが、雅が関わっているらしいことは分かった。

ガラッ

「ガハッ!」

「ウワッ!?」

急にドアが開いた…かと思ったら人が背を向けてふっ飛んできた。

ドタン!!

列の先頭も巻き込んで廊下に倒れ込んだその人は男子生徒。これまたヤンチャそうだ。


「あ゛あ!!?テメェどの口で言ってんだ!?月に変わってお仕置きしてやろうか?あ゛!?」

「落ち着け火双!!言ってることが意味不明だ!!」

次に扉から現れたのは、怒り顔で怒鳴り散らす今成に、その今成を羽交い締めにして引き止めている雅だ。

ヒィッ!と火双の剣幕に震え上がる不良達を他所に、雅が抗議の声をあげる。

「鈴も止めろよ!!」

呼ばれて扉の影からぬっと現れた峯岸。

「おぉっ!?」とビビる一同を他所に扉をチラッと見る。

「…何だよ雅。せっかくドアぶち破らないようにソイツがふっ飛ぶ前に開けたのに」

「その配慮をぜひ、他の所で活かしてほしいもんだな、鈴」

ペタペタペタペタ

2人の言い合いに足音が混じったことに気付き、振り返ってみると…
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