小説

□可愛い子には気をつけろ
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「ふわぁ〜」

思わず大きな欠伸が漏れる。隣には仙台がいるが構わないでおこう。

「どうしたんだ?珍しくでっかい欠伸して」

昨日、科学室の騒動があったためだ
ーとは言えない。
生徒たちどころか教師陣までいなくなる時間帯となるとそれなりに遅くなる訳で、あの後も色々あったため帰りも必然的に遅くなったのだ。

「何でもない・・・ところで仙台、今日は登校生達の指導に行かないの?」

仙台が所属する部活の顧問は生徒指導を担当する厳しい教師で、生徒の登校時には校舎の出入口付近に立ち、髪型や服装などの指導をしているのだ。

仙台達部員はその手伝いのために早めに登校して、問題のある生徒が教師の目を掻い潜るのを食い止めている。

因みに、顧問教師は見た目もヤーさんにしか見えないほど恐ろしい。

「あぁ。今週は当番じゃないからな」

久し振り・・・とまでは行かないが、一緒に登校するのは何日かぶりだ。
オマケに何時もはいるはずの詩音は何やら用事があるらしく先に行っている。二人で登校するのは珍しいかもしれない。

「あ!今日はお前が当番だったんか」

校門を通ると、早速仙台の部活仲間がいたらしい。ヤンチャな生徒を1人捕獲しているところだった。

「えぇ。今日は集会を控えているので、より厳しい検査のために普段よりも早めの集合を申し付けられてしまいましたよ。ゆっくりと登校する皆さんが羨ましいです」

ん?何やら聞いた事があるような声・・・・・・

「なはは!当番外れててラッキー」

仙台は面倒を回避できた事に歯を見せて笑っているが、その仙台が会話する相手の顔を見た途端、鏨の表情筋はそのまま固まってしまった。

本人ではなかったが、昨日もまじまじと見ていたものだったからだ。

「あっ鏨、コイツは俺の部活仲間で阿佐田って言うんだ」

何も事情を知らない仙台が軽く紹介してくるが、既に知っている。

で、・・・・・・出たー!

(会っちゃった!翌日に早々と会っちゃったよ!!)

事情を知らないのは阿佐田(本人)も同じだが一方的に面識を持っている鏨の反応はぎこちなかった。

「あー、僕は茅野です。・・・・・・よろしく」
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