短編

□当たり屋に遭った場合の対処法〜これでもう当たり屋なんてくない〜
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火双の場合


「まぁまぁ稼いだな」

薄暗い路地で三人のうちの一人が言う。

「今日はこの辺にしときますか?」

伺うように呟いた男に言うが、

「いや、まだ待ってればこの路地裏通るヤツがまだいるかもしれねぇ」

「わかりやした!」

カツカツ カツカツ

壁に足音が響き、その方向を見る。

街灯が照らされ人影を確認し、

「見ろ、早速来たぜ。次はあの赤髪だ」

「へい!」

返事を聞くと、男はスタスタと足早に近づき、

ドンッ

派手な音とともに肩をぶつけた。

「痛てぇ!痛たたたた!!」

大袈裟に痛がる男に仲間の二人が近づく。

「大丈夫ですか!?」

「あ、もうコレ骨折ったわ。・・・おい、どうしてくれんだよ?テメェ」

赤髪を睨みつけるが、

「あぁ?」

「あぁ?じゃねぇーぞ。こっちはな骨折ってんだぞコラ」

「ふざけてんじゃねぇぞ!」

ぶつかった男に続き、二人も怒鳴る。

「あぁ!?」

だが、赤髪は一向に怯まない。

「だから、肩を・・・」

「あぁ!!?」

更に低くドスの利いた声で聞き返され、男の声も弱くなった。

「・・・すいませんでしたぁぁぁ!」

どこかの組員並じゃないかと思うほど迫力のある声と形相についに男は誤り、

「なんだって?この野郎」

「すいませんっしたぁぁぁぁぁぁ!!!」

さらに距離を縮めてくる赤髪に恐れ、その場を走り去った。




「なんつってたか聞こえなかっただけなのにな」






 
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