05/16の日記
23:42
稲荷様より「桜が散る頃に」
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相互リンク記念にお話を頂きました!
お持ち帰り許可を頂いたので、こちらに貼らせていただきます↓
『桜が散る頃に』
はらり、と桃色の花弁が散っていく。
散っていったそれは、地面に桃色の絨毯を作り、私たちが歩く道へと落ちていった。
私は、恋次から花見の誘いを受け、とある公園へと足を運んでいた。
恋次曰く、その公園は『春になると桜並木が綺麗だ』と専ら評判の公園らしく、一度でもいいからその光景を見たいと思い、私を花見に誘ったらしい。
私も花見は嫌いではなかったので恋次の誘いを受けた。
「やっぱ綺麗っスよね〜、隊長もそう思うでしょう?」
暫く桜色の道を歩いていると、恋次は上機嫌で私に聞いてきた。
「ああ。私の屋敷とはまた違う桜というのも悪くはないな…」
「隊長の屋敷の桜も綺麗っスよね。たまには月見のひとつにでも誘ってくださいよ?」
俺らは恋人なんですから、と快活に笑いながら恋次は私に言った。
「……また今度、誘ってやる」
「本当っスか?!」
そう言ってやると、恋次は途端に目を輝かせ、私にすりよってきた。
「……気が向いたらな」
「ひでぇっ!」
ちらり、と横を見ると、恋次は如何にも不満そうな、不貞腐れたような表情をしていた。
「………冗談に決まっているだろう」
「だろうと思いました。」
嘘だ、絶対本気にしていた。顔に安堵の表情が浮かんでいるのがその証拠だ。
「愛していますよ、隊長」
唐突に言われた愛の言葉。
それと共に、わたしに慈しむような唇が、私の額に降り注ぐ。
『私も…愛している』
それだけの一言を言うだけなのに、無性に恥ずかしくなってしまう。
羞恥で桜よりも赤くなった私の顔を、ひらひらと舞う桜が隠してくれるよう祈るばかりだ。
降り注ぐのは
(接吻と私の羞恥を隠す花弁)
<おわり>
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