二万打達成企画!!

□甘えて、鳴いて ★
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「ハッピイ〜〜〜ハロウィーーーン!!今夜は無礼講で行きましょうっ!!」

酒が並々と注がれた杯を掲げて、乱菊さんが勢い良く叫ぶ。続いて、周りの奴等も一斉に「ハッピーハロウィン!」と返した。


今夜は護廷隊に人気の高い店を貸し切り、乱菊さんが企画したハロウィンパーティーが開かれていた。

ハロウィン、とか横文字で言っても会場は飲み屋だし、中身もいつも通り食って飲んで騒ぐだけなんだが、それでも賑やかな祭りの雰囲気が俺たちを包んでいた。

今夜はいつもの飲み会と違い、過半数の隊の隊長・副隊長や席官たちが集まっていた。
一角さんや檜佐木さん、平子隊長や雛森の他に、どうやって呼んできたのか日番谷隊長までいる。


「松本……今更なんだが…何でただの飲み会にこんな仮装がいるんだ…?」

日番谷隊長が、恐らく強引に着せられたであろう仮装に目を落としつつ、当惑気味で尋ねた。

黒い触覚と尻尾に蝙蝠の翼……見た感じ、悪魔の衣装だろう。


「何言ってるんですかあ〜隊長!!ハロウィンといったら仮装でしょ?今日は普段の自分を脱ぎ捨てて楽しみましょーよっ」

胸元が大きく開いた服とミニスカートの魔女風衣装に身を包んだ乱菊さんが、大きな黒い三角帽子をかぶり直しながら上機嫌で答えた。

可愛いし、いい感じにエロい、けど……去年隊長が着てくれた魔女っ子衣装には劣る気がする。何故かよく分からねえけど。



今日はハロウィンにちなみ、参加者の何人かが仮装をしていた。

いつぞやの袖白雪にそっくりな雪女の仮装をしたルキアが、何故か俺の方に来るなり吹き出す。

「ははっ!恋次貴様、まさかそれを選ぶとは……似合いすぎていて逆に可笑しいぞ!」

「うるせえよっ!……言っとくが自分からやったんじゃねえぞ、雛森に押し付けられたんだっつの」

俺の仮装は狼男をもとにしたものだ。といっても耳と尻尾付けただけの簡単なもんなんだが。


「やはり野良犬はこうでなくてはな。……時に恋次、今日は兄様はお見えではないのか?」

「ああ、乱菊さんが誘ったらしいんだが、予想通り『興味が無い』って断られたってさ」

「お前はお誘いしなかったのか?」

「………いや、無言の圧力かけられた」

ハロウィンともなれば乱菊さんたちが良からぬことを考えるのは目に見えている。

そして……去年のごとく、俺が誘惑に負けて協力してしまうであろうことも。

今日1日執務室を支配していた、押し潰されるんじゃないかと思うような重い重い霊圧は、そんな隊長の警戒心をひしひしと痛感させた。
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