緋衣草〜燃える想い〜
□第四章 哀しき告白
2ページ/9ページ
「!?――…んぅ……っ」
突然のことに、私の思考は乱れに乱れた。
僅かに開いた唇から舌が侵入し、口腔内を激しく犯す。
「んんっ……ふ……ぅ」
かつて経験したことが無い程の荒々しい接吻に、息をすることもままならない。
抵抗しようにも、身体の力が抜けていく。
顔が火照るのを感じ、目には涙が滲む。
口の端から、雫が落ちるのを感じた。
いやらしい程の水音が響き、私は固く目を閉じた。
いつの間にか、私の身体は恋次の腕に抱きしめられていた。
手で後頭部を押さえられ、互いの唇が更に密着する。
あまりの熱さと息苦しさに、私は無意識に恋次の死覇装を握りしめていた。
身体中が熱を持ち、もう何も考えられなくなった頃、ようやく私は解放された。
「はぁっ!はぁ……っは……」
立つことすらままならず、壁にもたれ掛かる。
見ると、恋次も同じように荒い息を吐いていた。
一足先に息を整えると、恋次は私の腕を引き、私をその胸に抱き込んだ。
「はっ……離せ!」
「嫌です!」
私を抱きしめる力が強くなる。
「隊長……聞いて下さい」
恋次は強い意志が感じられる、しっかりとした声で告げた。
「俺は、アンタが、好きです」
「―――!?」
「好きだから、気になるんスよ。いつもアンタだけを見てるから、何思ってんのかも察しがつくし、好きだから力になりたいと思うんスよ」
触れている胸から、恋次の鼓動が速さを増すのが分かった。
「最初は、アンタは俺にとって、倒すべき敵だった。でも、副官になってから、時々アンタが、悲しそうな顔や何かを抱えてるみたいな雰囲気を見せるのが、気になって。そんなアンタを見ていたくなくて、支えになれたらと思った。ルキアの処刑の時は、それを後悔したりもしたけど……アンタが隊舎の庭で泣いてるのを見た時は、胸が締め付けられる思いがした」
「!!」
見られて―――いたのか。
「その後、アンタが本当はどんな思いでいたのか知って――やっぱり、傍にいて支えたいと改めて思った。自分の気持ちに気付いたのは、そん時だった」
そこまで言うと、恋次は私の身体を離し、目線を合わせた。
「だから、アンタがそんな風に辛そうにしてると、俺も辛くなるんです。隊長――お願いします。話…聞かせてくれませんか?」
そう言う恋次の表情は、見たことが無い程、切羽詰まったものだった。