緋衣草〜燃える想い〜

□第四章 哀しき告白
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「!?――…んぅ……っ」

突然のことに、私の思考は乱れに乱れた。

僅かに開いた唇から舌が侵入し、口腔内を激しく犯す。

「んんっ……ふ……ぅ」

かつて経験したことが無い程の荒々しい接吻に、息をすることもままならない。

抵抗しようにも、身体の力が抜けていく。

顔が火照るのを感じ、目には涙が滲む。

口の端から、雫が落ちるのを感じた。

いやらしい程の水音が響き、私は固く目を閉じた。




いつの間にか、私の身体は恋次の腕に抱きしめられていた。

手で後頭部を押さえられ、互いの唇が更に密着する。

あまりの熱さと息苦しさに、私は無意識に恋次の死覇装を握りしめていた。







身体中が熱を持ち、もう何も考えられなくなった頃、ようやく私は解放された。

「はぁっ!はぁ……っは……」

立つことすらままならず、壁にもたれ掛かる。

見ると、恋次も同じように荒い息を吐いていた。


一足先に息を整えると、恋次は私の腕を引き、私をその胸に抱き込んだ。

「はっ……離せ!」

「嫌です!」

私を抱きしめる力が強くなる。

「隊長……聞いて下さい」

恋次は強い意志が感じられる、しっかりとした声で告げた。





「俺は、アンタが、好きです」





「―――!?」



「好きだから、気になるんスよ。いつもアンタだけを見てるから、何思ってんのかも察しがつくし、好きだから力になりたいと思うんスよ」

触れている胸から、恋次の鼓動が速さを増すのが分かった。

「最初は、アンタは俺にとって、倒すべき敵だった。でも、副官になってから、時々アンタが、悲しそうな顔や何かを抱えてるみたいな雰囲気を見せるのが、気になって。そんなアンタを見ていたくなくて、支えになれたらと思った。ルキアの処刑の時は、それを後悔したりもしたけど……アンタが隊舎の庭で泣いてるのを見た時は、胸が締め付けられる思いがした」

「!!」

見られて―――いたのか。

「その後、アンタが本当はどんな思いでいたのか知って――やっぱり、傍にいて支えたいと改めて思った。自分の気持ちに気付いたのは、そん時だった」

そこまで言うと、恋次は私の身体を離し、目線を合わせた。

「だから、アンタがそんな風に辛そうにしてると、俺も辛くなるんです。隊長――お願いします。話…聞かせてくれませんか?」

そう言う恋次の表情は、見たことが無い程、切羽詰まったものだった。
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