パロディ小説

□猫との生活。「なついちゃいました」
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「にゃにゃにゃーっ、にゃっ!」
「こらっ、ちゃんと体拭かなきゃ!」
風呂あがり。裸で走り回るベビッチョを捕まえて、バスタオルで体を拭い、パジャマを着せる。
「にゃっにゃー」
「ご機嫌だね」
「お風呂でキレイキレイするの気持ち良いにゃ!」
満面の笑顔のベビッチョ。やはり猫なので綺麗好きらしく、お風呂は大好きだ。…シャンプー以外は。
「俺、今日はシャンプー泣かなかったにゃ!」
「ん、良い子。やっぱりシャンプーハットがあると、あんまり顔が濡れないから怖くないみたいだね」
「うん。シャンプーハットがないと怖いのにゃあ」
水色の、猫のキャラクターがプリントされたパジャマのベビッチョ。俺の好みで買ってきたんだけど、やっぱりよく似合う。俺のセンス、ベネ!
「良い子のご褒美だよ。アイスあげようね」
「わーい!アイス好きにゃあー!」
冷蔵庫から取り出した、バニラアイスを美味しそうに食べるベビッチョ。
大人用の椅子は彼にはとても大きくて、ご機嫌そうに足をブラブラさせているのが、とても可愛い。
「ただいまにゃー!」
「あ、兄ちゃん帰ってきたにゃ!」
ショタッチョは子猫らしく、近所の野良猫達と外で遊ぶのが大好きだ。
玄関からパタパタと走ってきたショタッチョ。が、その姿を見て俺は一瞬絶句した。
「にゃ…ごめんなさいにゃ」
「こらー!」
泥だらけの服に、あちこちかすり傷だらけのショタッチョ。
「また喧嘩してきたな、お前は!」
「へへ…今日は勝ったにゃ」
「勝ったにゃ、じゃないっ!全く今ベビッチョをお風呂に入れたばかりなのに…」
「ふにゃっ!」
ショタッチョの襟首を掴んで、バスルームまで連れて行くと、彼はバタバタ抵抗した。
「お、俺ちっちゃい子じゃないにゃ!お風呂は一人で入れるにゃ!」
「あ…」
そっか。にゃあにゃあ言葉だから、つい幼く感じちゃうけど13歳だもんなぁ。
「全く…しょっちゅう泥だらけで帰ってくるんだから、お前は」
「にゃあー。ね、メローネ。俺もアイス食べたいにゃっ」
「キレイキレイしてからだよ!」
ヤンチャ坊主で困ったもんだ。そう思いながらリビングに帰ると、美味しそうにアイスを頬張るベビッチョと、ソファーに寝転がるお兄ちゃん、ギアッチョ。
彼は無言で俺の顔をじーっと見つめる。
「ん、なんだ?」
「…俺もアイス欲しい」
「ごめんな。あと一個しかないんだよ。ショタッチョにもあげるって言っちゃったからさ」
「…クソッ」
ふてくされた顔で、俺に背を向けて寝返りをうつ。
…ああ。悩みの種。長男の、ギアッチョだけはどうも、まだなついてくれないんだよなぁ。
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