パロディ小説

□昆虫ものがたり。さらわれたミツバチくん編
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昆虫王国にある、黒を基調とした荘厳な城。
そして、最上階にある王の間。
「あはははっ!もう一回、もう一回言ってみて!」
無邪気に笑うミツバチギアッチョの声が響いていた。
「ん、青巻紙赤巻紙黄まきぎゃ…」
「きゃははは!言えてねえ!言えてねえって!」
そんな彼を膝の上に乗せて可愛がってやるのは、この城の主。
クマバチの王、リゾットだった。
「青巻紙、赤まきま…ん?」
「あははー!」
笑いながら、胸元にぎゅうっと抱きついてくるギアッチョの頭を撫でてやるリゾット。クマバチとミツバチは仲が良い。特に、この王、リゾットはギアッチョを我が子のように可愛がっている。
「クマバチってさ、みんな服カッコいいよなぁ。黒くてイカツイの。俺もこんなの着てみたい」
リゾットが羽織るマントをちょこちょこと引っ張りながら言うギアッチョ。
「そうか?お前の黄色のシマシマも可愛いじゃないか」
「本当?へへっ」
「小さな羽も可愛いな」
そう言ってリゾットはギアッチョの薄い羽を撫でる。
「俺ね、小さい時に比べたら随分と早く飛べるようになったぜ」
ギアッチョが得意気に語りだした時。
「おい!もう帰るぞー!」
部屋に入ってきたのは、美しい女王蜂。プロシュートだ。
「俺もうちょっとリゾットと遊びたいよ」
リゾットの胸元に、べったりとくっついて離れないギアッチョ。
「駄目だ、ペッシが城で待ってるだろう?」
名残惜しそうな顔でリゾットの顔を見上げるギアッチョ。
すると、扉が開いて赤い短髪のクマバチが入ってきた。
「ようギアッチョ。来てたのか」
「ホルマジオー!」
ギアッチョは膝から下りると、ホルマジオの元に駆けていく。
「女王様、俺ホルマジオと遊びたい!」
「…ちょっとだけ、遊んできてやっていいか?そんなに急ぐのか?」
二人にそう言われ仕方なくプロシュートは、行ってこい、と返した。
庭で遊ぶか、と二人は部屋から出ていった。
「…元気そうで安心したぞ。あの子がスズメバチに襲われたと聞いた時は焦ったが」
「まあな。たいした怪我はなかったが…ショックだったみたいでな」
椅子にドカッと腰掛け、プロシュートはため息をついた。
気だるげな、その表情は悩ましくリゾットはそんな彼の顔をチラチラと眺めた。「スズメバチとは…アイツか?メローネか」
「…そうだ。あの野郎!あれ以来、ギアッチョを一人で外出させるのが心配でな…くそっ」
「出来る限りの事はするぞ。しかし厄介な奴だな…」
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