パロディ小説

□猫との生活。番外編「食べられちゃいました」
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「…にゃん」
可愛い声をあげて、ぎゅうっと抱きついてくる、膝の上の子猫。
「ん…好きすーき」
俺の肩に手を回すと、はにかんだような笑顔で胸に頬擦りしてくる。
ふわっとシャンプーの香りが漂う。フルーツのような甘酸っぱい香り。
柔らかい巻き毛から覗く、白いふわふわの毛が生えた猫の耳は触りごこちが良さそうで、つい指先で触れると、くすぐったいのか体を震わせた。
「にゃんっ」
「ん。器用に耳だけ動くモンだなぁ」
本物の猫のように、ピクピク耳を震わせるショタッチョ。
「耳触っちゃ嫌にゃん」
「そうか、はは…。すまなかった」
クシャ、と前髪を掻き分けて額を撫でてやる。それこそ、猫のように。
「ふにゃ…気持ち良い」
「頭撫でられるのは、嫌じゃないのか?」
「頭なでなでは好きにゃ…」
うっとりした表情で、俺に体を預け、ぴったりとしなだれかかってくる。
可愛い。猫がこんなに可愛いものだとは知らなかった。
「俺、リゾットの膝の上好き!居心地良いにゃ」
白い尻尾を俺の背中に絡ませてくる。これは、この子の癖だ。甘える時かならず、尻尾をくねらせ俺の背や腕に絡める。
そのくせ、尻尾に触れられるのは嫌がる。人間にはよく分からんが、ショタッチョいわく「尻尾を掴まれると力が抜けちゃう」らしい。
「こら」
「好きにゃん」
あろうことか、俺の首筋に舌を這わせる子猫。猫なりの愛情表現のつもりなんだろうが、こんな可愛い子にそんな事をされたら、少し妙な気持ちになる。
「何してる…?」
「…マンマ」
舐めるだけでは物足りなくなったのか、チュチュ、と音を立てて吸ってくる。
「赤んぼみたいじゃないか?」
その問いかけには答えず、チュウチュウと吸い続ける。ジンジンしてきたソコには間違いなく跡が着いてしまっているだろう。
子猫といっても、もう13歳だと聞いた。
なのにこの子は、どうしようもないくらいの甘ったれだ。
母猫の乳を吸う錯覚でもしているのだろうか、夢中になり、尻尾がゆらゆらと揺れていた。悪戯心が沸く。がっしりと背中に回してやっていた腕を離す。
「ふにゃあ…!」
尻尾をキュッと強く掴んでやると、唇を離し身を反らせた。
「嫌…嫌!尻尾は嫌にゃあ!」
「ふふ」
途端、全身から力が抜けたかのように体のバランスを崩し、俺の膝の上にぺたん、と尻餅を着く。
「本当に尻尾触られると力が抜けてしまうんだな。面白い」
「おっ、面白くないにゃ!離してにゃ!意地悪ぅ…」
体をくねらせて嫌がるショタッチョだったが、構わずそのまま、やわやわと強弱をつけて握ってやる。
「にゃ…!や!やぁんっ」
そのたび、可愛い声をあげていちいち反応してくれる。赤らめた顔が、子供の癖に妙に色っぽく感じた。
いよいよ我慢出来なくなってきた俺は、尻尾をつかんだまま、軽く手の平でなぞりあげた。
「にゃああっ!」
両手を床につき、されるがままの子猫。尻尾を上下にさすってやるたび、いやいやをするように首を振る。
「嫌にゃ!」
「本当に、嫌か?」
俺の問いに、驚いたように体を強張らせる。
「にゃ、にゃあ?」
「気持ちよさそうな顔、してるじゃないか」
右手で尻尾を掴んだまま、開いているほうの手でシャツの裾を捲りあげる。
「何するにゃ…、あ、駄目にゃ!」
すべすべの腹は、子供らしく体温が高くて温かい。いや、子供だから、というだけじゃあなさそうだ。
火照った肌に這わせた指を、胸元まで移す。小さな突起に触れる。
「にゃああああ!」



クッションを枕にして眠るショタッチョ。タオルケットにすっぽり包まっている。寝顔は歳よりさらに幼く見えた。
「あーあ。まさかアンタに先に手出されちまうとはな」
やってきたメローネが悔しそうに寝顔を見つめていた。
「まさか…こんな子供にその気になるなんて思わなかったんだがな。…すまない」
煙草をくわえたメローネは、眉間に皺を寄せて俺を見る。おい、俺はお前にだけは、そんな変態を見るような目で見られたくはないんだが。
「さすがの俺も、もう少し大きくなるまで待ってたんだが」
「ふふっ」
「ちょっと前から、やたらとショタッチョがあんたに会いたがるんで、これはもしや…と思ってたんだ。案の定…」
メローネがショタッチョの髪を撫でる。コロンと寝返りをうつと、首筋に赤い跡がいくつか残っていた。…色が白いので、とても厭らしく目立つそれを見たメローネの顔が、さらに不快そうに歪む。
「しかし随分とアンタに懐いたよ、この子は。悔しいけどさ」
「可愛くてたまらんな」
煙草を灰皿に押しつけたメローネが、わざとらしくお手上げ、の仕草を見せて椅子に腰掛けた。
「なあ。三匹も面倒見るのは大変だろう?この子を良かったら譲ってくれないか」
「そうくるかと思ったよ…まあ、考えとく」
「お前には、この子の兄貴がいるじゃないか」
そう言ってやると、不貞腐れた表情が若干崩れる。
「まあな。可愛いからな、あの子は…」
とにかく今夜はここに寝かせておけよ。そう声をかけると、ご自由に、と奴は部屋を出ていった。




END

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