小説

□Make that change.
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深夜二時のアジトのリビング。
俺は一人で、たいして飲めもしない癖に酒を飲んでいた。
最近たて続けに起こった災難を忘れるつもりで飲んだ筈が、俺の気分は全く晴れる事はなかった。
なんて、虚しいんだ。
そう思った時。
「イルーゾォ」
ふいに名を呼ばれる。
メローネだ。奴はツカツカと歩み寄り、俺の正面に座った。
「まだ起きてたんだ。アンタが飲んでるなんて珍しいな」
「…俺だって、たまには飲むさ」
「ふーん。あ、タバコ一本貰っていい?」
返事の代わりに箱をメローネのほうに寄せてやると、奴は一本取り出して火を付けた。
いつものように、顔の右半分は前髪で隠れていて、俺を見る左目をじっと見つめても、奴が何を考えているのかは分からなかった。
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