小説

□深夜の、車内にて。
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「で、さぁ…その女が意外な事にまだ18だとか言うんだよな」
「ああ」
「シャワー浴びて化粧落とした顔見たらさあ、確かに18ってかガキでさ。いやー、最近のガキってのはませてるね。22、3かと思って声かけたからなあ…それでな、その女…」
街でナンパした女の話を饒舌に喋る助手席の男。
コイツの話は、俺からしたらどうでもいいような物ばかりだった。
女の話。おもに酒場で声をかけたら付いてきたような尻軽か、気紛れに買った娼婦。
あとはあの店のワインがどうのこうの、だの、新しいバイクを買っただのと、そんな話ばかりでうんざりしていた。
「その女、お兄さんギャングでしょ?カッコいい!だってよ。バカだよなあ、あれくらいの歳の子ってのは、そういうモンに憧れてたりすんのか、はは」
「メローネ」
それまでカラ返事ばかり繰り返していた俺が名前を呼ぶと、コイツはブルーの瞳を意地悪そうに歪めて笑った。
「ん?なに?」
「テメーの頭ん中は女しかねぇのかよ?」
苦笑いしながらそう言ってやると、また馬鹿な返事をしやがった。
「ふふ、その子ねぇ、今度私の友達も一緒に遊ぼうよ、なんて言うんだぜ。よかったらギアッチョも…18だぜ18!バカなガキだからすぐ股開く…」
「お前なあ!」
声を荒げると、やっとコイツは俺が苛立っている事に気付いたのか、初めて静かになった。
「俺はよ、あんまりそんな事、興味ねえんだよ」
しかし、この底意地の悪いブロンドヘアーの男が黙ったのは、束の間。すぐにまた俺の神経を逆撫でする発言をしやがる。
「ねえ、ギアッチョってさぁ…もしかして童て…うっ!」
ハンドルを握っていないほうの手で、奴の顔面を小突いてやった。
「いってぇー!そんな怒んなよぉ!図星だった…」
「童貞なワケねーだろが」
そんなふうに見られてたのか?クソッ!正直、女遊びにそう興味はないが、過去に何人かと関係は持った。そもそもいい歳した大人の男で、ましてやギャングで童貞なワケねえだろうが!ま、この前入ったペッシとかいう奴は怪しいが…
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