小説2

□最愛の、人。
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彼の指が、俺のナカを掻き回す。一番敏感な所に触れられた時、つい女みたいな声が漏れる。
「やっ、ん、ティッツァ、そこは…あっ!あん…」
そんな俺を、さらに辱めようとティッツァはソコばかり狙うんだ。
「もっと声聞かせて?我慢しないで。スクアーロ」
「やぁんっ、だ、駄目だって…あっ!」
ティッツァの気がすむまで鳴かされたあと、指が抜かれる。本当に、綺麗な顔をしている癖に、サディストな彼。
涙目で息を整えている俺を見下ろすティッツァは、良い事(きっと、俺にとっては良くない事)を思い付いた、といった表情で俺を抱き起こした。
「ティッツァ?」
「スクアーロ、こっちに…。そう、そこに手をついて」
ティッツァが指示したのは、ノートパソコンなんかが置いてある小さなテーブルだった。そこの一角に手をつけと。その先にあるのは、姿見の鏡。
「何言って…」
「ほら、早く」
冗談であって欲しいと思ったが、彼はいたって真面目に急かす。
拒んでも無理だと経験で悟る。素直に彼の言うようにすると、視線の先…姿見に、裸の俺が曝け出されていた。
「ほら、前見て?」
「んっ」
後ろから顎を軽く掴まれ、無理矢理に顔を上げさせられる。鏡の中の俺と、目があった。
フフ、と彼が笑うのが聞こえた。腰を掴まれ、彼の自身が押しあてられたかと思うと、いっきに深く突き立てられた。
「ああっ、ティッツァ!ティッツァ、きつ、い」
「凄く締め付けてくる…んん、力抜いて、スクアーロ」
「やっ、やぁっ、ティッツァ…」
繰り返される抽送に、俺は体勢を保っている事なんか出来ずにテーブルの上に倒れこむ形になる。
おかまいなしにティッツァは律動を続ける。
卑猥な音と、俺の息遣いが響く室内。乱れた髪に赤く染まった頬の、ひどくはしたない顔をした俺が視界に写るのが辛かった。
「んんっ!あっ!あ!恥ずかしい、よ」
「ねえ?こんな…丸見えですよ?全部。さっき出したのに、もうこんなにしてる」
再び昂ぶりはじめたソコに触れられる。やわやわと指先で刺激しながら、俺の耳元で囁く意地悪なティッツァ。
「こんな姿。とてもじゃないけど部下達には見せられませんね?だらしない顔しちゃって…」
「あっ、ああっ」
「貴方、いつもより敏感になってますよ。鏡の前でこんなふうにされて興奮してる。いやらしい。Mっ気があるんですよ、スクアーロ」
否定は出来ない。激しく突き立てられて、変になりそうな快感の中考える。確かに俺は、こうやって彼に辱められて感じてる。
でも、淫乱なんかじゃない。こうなってしまうのはティッツァだから。大好きな彼だからなんだ。
「はぁ…、たまんない、今の貴方すごくそそる」
そう呟いた彼は、さらに激しく攻め立てる。
今日の彼は、いつも以上にサディスティックに感じた。
何故――理解する間もなく、熱いものが俺の中に放たれて、ほぼ同時に達した。


ベッドにドサ、と腰を落とし、そのまま力なく横になった俺にティッツァはキスをくれた。
さっきまでの彼とはうってかわって、優しいキス。
「スクアーロ、愛してる」
「俺も…ティッツァーノ」

「今日の君…何かあったのか?」
「うん?」
ベッドにうつ伏せになって肘をつくティッツァは、俺を見る。アーモンド型の綺麗な瞳が優しく微笑んだ。
「いつもと違ったぜ?」
「ああ…」
少し気まずそうに苦笑すると、意外な事に謝罪の言葉を述べた。
「すみませんでした、スクアーロ」
全く理解できないでいると、ティッツァは言葉を選ぶように、ゆっくりと語りだした。
「その。少し嫉妬してしまったんです」
「嫉妬?どういう事だティッツァ?」
「君が…凄く嬉しそうにあの方の事を話すから」
そこでピンときた。
あの方。間違いなく、ボス。ディアボロ…。
「そうだったのか!すまない、俺の配慮が足りなかったよ」
「いえ。スクアーロは謝る事はない。あの方は…ボスは、私と出会う前の君を知っている。…俺よりも君の事を知ってるんだ。そう思ったら、つい」
「ああ、ティッツァ…」
俺は、たまらなく彼が愛しくなった。そんなにも俺の事を思っていてくれたなんて。普段完璧な彼がたまにこうして見せる意外な一面や、不意に素になった時に出る、綺麗な顔に似合わない男口調。そんな所も、全ていとおしい。
「ボスは。俺にとって兄みたいな人さ。尊敬はしてるけど、愛してるのはティッツァだけ。安心して」
「スクアーロ」
体を起こし、彼の額に、唇にキスした。
「大好きだよ、ティッツァ」


END
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