小説2

□いじめっ子と、いじめられっ子なカップルは。
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「で、さぁ…Mっ気あると思うんだよね、お前は」
いつものように家で飲んでた時だ。ウイスキーのロック。俺はそんな強いほうじゃないから、既に若干頭がぼんやりしてた。
「…バーカ」
猥談。男同士で飲んでれば、当然こんなくだらない話になる。
俺にマゾの素質があるだなんて、意味のわからねぇ事を言いだすもんだからたまらない。
「俺はそんな変態じゃねぇぞ」
「自分で気付いてないだけさ。お前…いつも俺が卑猥な事言ってやるたび、締まりがよくなるんだぜ?」
「まさか」
パチン、とグラスの氷が割れる音がした。熱っぽい瞳で、メローネが俺を見つめてきた。


それから。
「なぁ、なんで…こんなトコで」
「そそるだろ」
メローネの部屋の、姿見の前。テーブルに手をつかされて、バックで。
「あっ」
薄暗い部屋の中。眼鏡も外してしまったから、よく見えないけれど…尻に冷たいものが触れる。ローションが塗られたんだと気付く。
「んっ…」
ぬるりとしたそれが、メローネの指で塗りこまれていく。くすぐるように穴の周りに触れられる。少しずつ入ってきた指が、内壁を擦る。
「あっ…嫌っ、メローネ…」
「嫌じゃ、ないだろ」
視界が悪いせいで、神経が聴覚に集中する――。
メローネの声。低いけれど、甘い。こういう時にメローネの声が後ろから聞こえると、心臓をきゅうっと掴まれたように…ゾクゾクする。
「うっ…」
片手で後ろを弄びつつ、開いたほうの手が俺の自身に触れる。軽く撫でられた時は声を押し殺して耐えられたけど、先端を擦られると、つい声が漏れる。
「あぁっ!」
「可愛い」
そのまま何度か扱かれて、メローネはそこから手を離した。
ふと顔をあげると…気付かないうちに、暗闇に目が慣れたらしく、鏡に写ったのは、シャツの裾をたくしあげられて、メローネに尻を弄られている自分の姿。
「クソッ」
「こら」
ピシャリ、と尻をぶたれる。
「こういう時に…そんな汚い言葉使うんじゃないって、いつも言ってるだろう?」
「ううっ」
メローネがベルトを外す音が聞こえる。恥ずかしくて再び目を伏せる。
「目そらすなって。見とけよ」
「なんで…?んっ」
尻に、堅いものが押しあてられる。
「犯されてる自分の姿…見ながら…ふふっ」
変態野郎。そう言ってやりたいけど、また叩かれたらたまらないから我慢した。
ぐっ、といっきにメローネが俺の中に入ってくる。
腰を掴まれて…何度も、何度も打ち付けられる。
鏡に写る、メローネに犯される、火照った俺の顔。丸くて白い尻が、自分の体なのに酷くいやらしく見えた。
「う…っ!メローネ!ああっ」
激しく突かれ、身を反らせてしまう。いつもはシーツを掴んで耐えるけど、ベッドじゃあないのが辛かった。
それに…何だろう、この感覚は。鏡の前で、こんな恥ずかしい格好で男に犯されているのに。
凄く…凄く、いつもより強い快感に襲われる。
俺はマゾなんかじゃ、決してない――。
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