short

□Do you remember?
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ねぇ、覚えているかな?あの時の約束。「5」のついたユニホームを私にかぶせて、少し顔を赤らめて言ってくれたこと。


―――私は、覚えているよ。それが、4年たった今も。


突然だった。いきなり頭に鋭い痛みを感じたとき、私は倒れていた。そして、医者の「今すぐ空気が澄んでいる場所で療養するべきです。」という言葉。

あの時、この医者はコンピューターなんじゃないかと思った。それほどバッサリと言われたのだ。それでも、不思議なことに涙は出なかった。本当に、本当に大好きな人と別れなければいけないというのに。


でも、ね。やっぱり泣いちゃうんだ。何でだろう、君の前だと何でも喋っちゃう。君の名前を何度呼んだんだろう。でも、私が言うたびに、「ああ」と力強く返事をしてくれた君。それがとても嬉しかったんだ。


「お前がどんなに遠くにいても必ず耳に届くくらい、いっぱい勝つから。いっぱい勝って、毎日俺の名前を届けるから!だから…お前も早く治して……」




“また、一緒にキャッチボールしようぜ”




私は、その田島君との約束を、今まで一度も忘れた事はなかった。会えないけど、私のために試合頑張ってくれるんだ。その代わりに、私も田島君のために早く病気を治すんだ。そう思うことで、どんなことでも耐えられる気がした。


あれから4年。連絡は一つも来ない。最初のうちは、練習頑張ってるんだろうな、って思ってた。でも、2年、3年と時が経つうちに、忘れられてしまったんじゃないか、と思うようになった。

でも、でも……。


―――チャンチャラチャラチャラ、チャッチャッチャ〜♪


ふいに、KYな着メロ(今日の料理)が流れる。

「…もしもし?」

「今から、行くから」

ブツ

電話の声は、それだけ言って途切れた。……は?どういうこと?…でも、今の声は…

ピンポーン

やがて、チャイムが鳴る。鼓動が早くなるのがわかる。ある予感に少し期待しながら、ゆっくりとドアを開ける。


「どちらさ『会いたかった』


いきなり抱きしめられた。と気づいたのは、田島君の頭が見えた時だった。


だから、だから、私は……


「私も会いたかったっ!」


と、彼に思い切り飛びついて言ってやった。

Do you remember?

忘れるわけ、ないだろ…
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