つよきす-Another hero of the people-
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線を引いた孤高の女狼
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シンッと静まり返る生徒会室
「「えぇぇぇ!?」」
束の間、二つの驚愕の声が室内を響き渡る。
「…意味が分からないんだが」
「ん〜?言葉そのままの意味よ?生徒会に入りなさいって♪」
と、お姫様は明らかに何か企んでいる笑顔で微笑む。
「私は賛成です。」
そして、まず意外な人物が賛成の意志を表明する。
「さっすが、なごみん。わかるぅ!」
「じゃあ、僕は反対ー!」
ここで、今まで静かだった蟹が反旗を翻す。じゃあって…
「あらあら。カニっち、一応聞くけど、どうして?」
「そんなの勿論、ココナッツが賛成してるから」
「バカガニらしい理屈。」
「へっ、どうせオメェはタイガを入れて自称代理の自分は抜けるって魂胆なんだろうが、そうはいかないぜ!ココナッツは僕のパシリなんだかんよ」
「笑止。お前がパシリなんて言葉使える立場か。おら」
「ぐががが、てめ…!」
「泣け。」
「い、痛くないよ。痛くないもんね!」
とは言ってはいるが、やはり痛いのか、カニの目には薄らと涙が浮かんでいる。この幼稚なやり取りを見ていたら、思わず口が動いてしまう。
「カニ…それと椰子。もうやめろ」
「うわっ!」
俺は、カニの襟元を掴んで椰子から引き剥がす。
「……」
一方、いじる対象を取られた相手は黙ってジッとこちらを見ている。どうせ気安く名前を呼ぶなとでも思っているのだろう
「ちっ!今日はこの辺で引いといてやんよっ」
「…言ってろ。」
最後は相互に捨て台詞を吐いてその場は終了する。その横では乙女さんが何故か満足げな顔を浮かべていた。
「さて、余興も終わったところで、そうねぇ。まずは何をしてもらおうかしら」
「いや、俺はまだ入るなんて一言も…」
俺の弁解に、お姫様の表情が一変する。
「え?何、ダメなの?この私が直々に誘ってあげてるのに。よっぴーと対馬くんは勿論賛成よね?」
「わ、私はエリーがいいなら」
「俺もまあ、姫が言うなら…」
霧夜の若干圧力がかった声に、うんうんと頷いていく、よっぴーと対馬
「ほらぁ、みんな貴方のこと歓迎してくれてるわよ?」
本気で言ってるのか、この独裁姫は…
俺が煮え切らず返事に悩んでいると、お姫様が言葉を続ける。
「ん〜、白銀クン、ちょっと来て」
首を縦に振らない俺に、霧夜は自分の位置まで来るよう申す。仕方なくそこまで行くと、今度はしゃがんでという指示がくる。その指示にも従い、言われた様に身を低くすると、お姫様は自分の顔を俺の耳にあたるか当たらない程度のところまで近付ける。
『九鬼財閥さんの可愛いお嬢様にちょっかい出していいの…?』
「なっ…!お前!あ、いや…」
俺の反応にお姫様は口元を吊り上げ、満足気な表情をつくる。
「な、何の事を言ってるかよくわからないんだが」
「ふ…さて、じゃ、あの人達に動いてもらおうかしら」
そう言うと、どこからともなく携帯電話を取り出しコマンド入力を始める。
「ぐ…」
「〜♪」
「…わかった、入るよ。生徒会に。入るから…」
「よし♪じゃあ、本人の了解も得たところで、改めてよろしくね。貴方の働き大いに期待してるわ」
俺の了承に周りは驚きの表情をしているが、驚きたいのはこっちだ。まさか、あの人を知っているとは…
俺は少し霧夜カンパニー…いや、霧夜エリカを舐めていたのかもしれない。
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