泡沫
□充電
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第一部隊隊長である真弘は、その優れた能力から他部隊からお呼びが掛かる事も多い。
当然休みは少なくなり、親しい人と共に過ごす時間も少ない。
それは恋人であるソーマとの時間も同様である。
最近はもうかれこれ擦れ違いが続き、1週間近く会えていないのではないだろうか。
そんな今日、真弘がエレベーター前でソーマを見かけたのは幸運意外の何者でもないように思われた。
仕事の疲れも忘れ真弘はソーマに抱き付く。
先に気付いていたらしいソーマはその隊長とは思えない小さく細い体を軽く受け止める。
抱き着いたままグリグリと頭を擦り付けてくる真弘に、ソーマは苦笑を溢した。
「何だ」
「んーソーマ不足だったから
…充電?」
しかしそれもエレベーターが来るまでで、来たエレベーターにすぐに乗り込んでしまう。
「おい」
エレベーターという密室の中、ソーマが動いた。
大きな手で真弘の頬に触れ、顔を近付ける。
「あんなもんじゃ足りねぇ」
二人の唇が重なり、何度も何度も啄むようなキスを繰り返す。
音がエントランスへの到着を告げる頃に、ようやくそれは終わった。
放心する真弘を残して、ソーマは先にエレベーターを降りた。
「次は覚悟しとけ」
真弘は真っ赤なコクコクと頷いたのだった。