長編番外

□禁忌を破る者
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榊博士から突然呼び出され、よく分からない忠告をされた。

「君は暫く外出を最小限に控えてくれ」

何でも、アーサソールと言う本部管轄の禁忌種専門チームがこの極東に来るらしい。

彼等はユーバーセンスではない何かでアラガミを探知しているために、万が一間違いが起こっては困る、との事。酷いなぁ…私をアラガミ扱いするなんて。まぁ何も言わないが。

興味はあるが、そんな面倒な事柄に首を突っ込むのは嫌だし、断る理由もない。私は大人しく頷いておいた。
「じゃあ私は任務行ってきます」

確かコウタとアリサとソーマが一緒だった気がする。そんなに長い時間はかからないだろう。


−−−−−


やはり任務は抜かりなく終えた。コアを取り出して辺りに耳を澄ます。相手が複数だったために別れて戦っていたが、どこも問題はなさそうだ。

ギー…ギィス…
人の名前…?誰かを呼んでるの?

その時捉えたおかしな声は、チームのメンバーの声じゃない、それどころか人ですらない。となると残る可能性はアラガミだが、こんな鳴き声をあげるアラガミなんていただろうか。

私の足は自然とそちらへ向かう。たどり着いたのはエリアの端の端だった。そこからようやく見える。

スサノオ、盾の代わりに神機を、針の代わりに剣を携えたボルグ・カムランの亜種だ。間違いない。

ゴッドイーターになる前に私も倒した事はあるが、今のコウタやアリサじゃ危ないだろう。こういう時は早く逃げるに超したことはない。
ちょうどその時、集合の命令である花火が上がった。この面子だとソーマかな。ソーマからの命令なんて滅多にない。私があんまりモタモタしてるから痺れを切らしたんだろう。

…と思ったが違ったらしい。私達の目の前ではアリサとコウタが言い合っている。多分ソーマは早く帰りたかっただけだろうな。

コウタが今度は私に話を振ってくる。

「ホントに見たんだって!」

コウタが見たそのアラガミは間違いなく私の見たスサノオだ。でもそんな事を知らせても怖がらせるだけだ。私は曖昧に笑って誤魔化すしかなかった。
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