Persephone(無印)

□Mission1
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夢を見る。

この世界に来る前の夢。

破壊された街、倒れた人々、流れる血、目の前の化け物。

意識も身体の感覚もハッキリしない、そのせいか痛みも恐怖もなかった、ボンヤリとした思考の中で無駄に冷静だったのを覚えている。

新種の細胞から急激に発生したそいつらは凄まじい勢いであらゆる物を喰らいつくした。

私もきっと食べられてしまう。
大きく吼える目の前の化け物。

血なのか、元からなのか、鋭い牙に彩られた口の中は真っ赤だった。

そして私は…。





「すいませーん」

ハッとして顔をあげる。

誰か来たらしく、慌てて服装を正す。

こんな寝乱れた格好で人前に出るわけにはいかない。
扉をあけると、フェンリルの役員らしき人間が立っていた。

淡々と自分が新型神機の適合候補者であることが告げられる。

そして、その試験のために今からアナグラに来てほしいらしい。

拒否権はないだろうに律儀に尋ねてくる役員に苦笑しながらも、私は即答した。

「もちろん行きます」

笑顔の私に役員が複雑そうな表情を浮かべているのは気のせいではないだろう。
きっともう、この部屋に帰ってくる事もない。

後で引き払っておいてもらわなければ。

「お待たせしました」

極端に少ない私の荷物は大きなボストンバックひとつに収まってしまった。

黙って乗り込めば、すぐに走り出す車。

私の神機、どんな子だろう。

期待に胸を膨らませ、もう一度目を閉じる。
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