「おお振り」×「ダイヤのA」

□さらに後日談、その5!
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未来へつなげOne Story〜♪描き出す夢はまだ終わらない!終わらせはしない〜♪
沢村と三橋は相変わらず歌っていたが、テンションはかなり下がっていた。

沢村と三橋は軽快に歩き続けていた。
やはり甲子園を目指す現役の高校球児、脚力はハンパない。
途中コンビニに入り、地図を立ち読みして、どうにか正しい方角に進んでいる。
疲労と空腹はどうにかなりそうだが、ここへ来て眠気が2人の大敵となった。

ヤバい。オレ、歩いたまま、寝そう。
沢村が白状すると、三橋も「オレも」と同意した。
本当に歩きながら、瞼が次第に落ちてきてしまうのだ。
こういうときこそ何か歌えばいいのかもしれないが、2人とも声が枯れ始めていた。
そろそろ大きな声で喋るのも、しんどい。

御幸、セン、パイ、心配、して、ない?
三橋がふと思いついて、そう聞いた。
沢村の場合、帰りが遅いことはチームメイト全員が知ることになる。
青道の主将であり、沢村のバッテリーの相方である御幸は、すごく心配しているのではないか?

心配なんかしてねーよ。あの人、性格悪いし。
沢村は、そう即答した。
これは強がりとかなどではなく、本気でそう思っていた。
いつも飄々としたあの御幸が、誰かを個人的に心配するなんて、想像できない。
いや、もしもこれが降谷や川上だったら、心配するのだろうか。
そう思った瞬間、沢村の胸はツキンと痛んだ。

阿部はどうなんだよ。
沢村に聞き返された三橋は「多分、知らない」と言い返した。
多分三橋の両親と、田島、泉は心配しているのではないかと思う。
だが阿部は三橋が今、こんなところを歩いているなんて、知らないだろう。
知っていれば怒られると思うが、それはきっと三橋が西浦でただ1人の投手だからだ。
そう思った瞬間、三橋は何とも言えない寂しさを感じた。

未来へつなげOne Story〜♪描き出す夢はまだ終わらない!終わらせはしない〜♪
沢村と三橋は相変わらず歌っていたが、テンションはかなり下がっていた。
だけど眠らないようにするには、これが一番。
沈みがちな気持ちを押さえつけるように、2人は歌いながら足を進める。
だがそのとき、2人の横に1台の車が急ブレーキと共に停車した。

沢村君!三橋君!
車の窓から顔を出したのは、青道高校野球部副部長の高島だ。
2人が歩いているのではないかと推察し、車で捜索していたのだ。

沢村と三橋は顔を見合わせると、その場にヘナヘナと座り込んだ。
こうして2人の大冒険は、唐突に終わりを告げたのだった。

【続く】
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