「おお振り」×「ダイヤのA」
□3日目、試合後、主将談義!
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「それにしても、10人しかいないのに、よく面子が集まったな。」
御幸はそう言いながら、内野手が集まっている辺りを見た。
視線の先にいるのは、小湊春市と喋っている田島悠一郎だ。
そして次にチラリと一瞬だけ、三橋を見た。
「あいつ荒シーの田島、だよな」
「さすが。よく知ってますね。アイツ家から近いってだけの理由で、うちに来たんすよ。」
御幸の問いに答えたのは、阿部だった。
倉持が「ラッキーじゃん」と口を挟む。
前園が「うちに来てても、すぐレギュラーかもな」と言った。
「三橋は?あのコントロールなら中学時代活躍してそうだけど、知らねーんだよな。」
「・・・あいつの話は長くなるんで。」
阿部は田島の時とは対照的に、さっさと会話を打ち切った。
三橋の中学時代のつらい経験は、簡単にペラペラと話せることではないからだ。
だが御幸は意味あり気な表情で「へぇぇ」とからかうような声を上げた。
「お前と三橋って、ほとんど恋人だよなぁ。」
「はぁ?」
御幸の言葉に、阿部は不満の声を上げた。
そして沢村たちと一緒に食事をしている三橋を見た。
三橋は箸を持ったまま、居眠りしそうになっている。
今日はハイテンションで投げたから、電池切れしているのだ。
「ちょっとすみません。」
阿部は箸を置くと、ため息と共に立ち上がる。
そしてズンズンと三橋に歩み寄り、隣に腰を下ろすと「起きろ、バカ!」と耳元で叫んだ。
思わず「う、お!」と驚く三橋に「寝るな、さっさと食っちまえ」と声をかけている。
その場を動かないところを見ると、どうやら食事の終了まで見届けるつもりらしい。
「やっぱり恋人じゃん。」
「っていうか、夫婦の域ですよ。手のかかる亭主と口うるさい女房。」
栄口が御幸の言葉を訂正すると、花井が頷き、倉持と前園が「ぶ」と吹き出した。