「おお振り」×「ダイヤのA」

□3日目、試合終了!
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「何ならオレ、投げるっす!」
沢村が奇声を上げて、青道ナインを煽っている。
御幸はため息をつくと、ツカツカとグラウンドを出た。

「バカ、煽るな。試合は終わりだ!」
御幸は沢村のところまで歩いていくと、平手で軽く頭を叩いた。
これ以上バカが進むと悪いので、あくまで軽くだ。
沢村は最初はポカンとしていたが、すぐに「何するんすか!」と噛みついてきた。

「試合は終わったんだ。延長はない。」
「何でですか!点数は。。。」
「引き分けだ。それが今回のルールなんだ。」
「でも!」

あくまで引き下がらない沢村に、御幸はため息をついた。
沢村は三橋や降谷たちのピッチングを見て、すっかり頭に血が上っている。
そしてそんな沢村の勢いに押されて、他の部員たちまで「やろう」モードになってしまっていた。
御幸は「あのなぁ」と諭すように声を上げた。

「延長をやればオレたちが勝つ確率は高い。西浦は連戦だからな。」
御幸はそう告げて、まず沢村を、そしてグラウンドの部員たちを見回す。
青道の面々はそれを聞いて、ハッと気が付いた表情になった。

「最初のルールを変えて、自分たちより疲れている相手に付け込んで。そこまでして勝ちたいか?」
御幸がとどめとばかりにそう告げると、部員たちは仕方ないという雰囲気になった。
そして1人だけなおも納得いかない表情の沢村の方に向き直る。

「三橋は連投の上にハイペースだ。これ以上投げたら故障の原因になるかもしれない。」
御幸は沢村にだけ聞こえるように小さな声で、そう言った。
すると弾かれたように沢村は御幸を見る。
そして「わかったっす」と残念そうに肩を落とした。

そう、延長になったらもう西浦に勝ちはないのだ。
自力はこちらが勝っているうえに、投手がいないのだから。
そんな風にまで勝つことに、意味はない。

御幸がグラウンドに戻り、青道メンバーも整列した。
そして御幸の正面に立つ阿部と目が合う。
阿部は目付きの悪いタレ目で、阿部のことを睨んでいた。
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