「おお振り」×「ダイヤのA」

□3日目、試合終盤!
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このままでは終わらせてくれるなよ!
阿部はベンチの中で、ただただ声を張り上げていた。

2点リードされた9回の裏、打順は9番の三橋からだった。
三橋の辺りはボテボテの当たりそこねだったが、全力で一塁に駆け込む内野安打。
そして1番はレフト前に浅いヒットを打ち、ノーアウト1、2塁だ。
栄口がバントでランナーを2、3塁に送った。
だが3番の巣山は凡退し、ツーアウト、ランナー2、3塁になった。

まったくこれは大きな反省だ。
阿部はもう何度したかわからない後悔を繰り返した。
西浦はかなり力を入れて、降谷対策をした。
昨日先発の沢村対策もそれなりにしたつもりだ。
だが今日のリリーフ、川上の対策は充分ではなかったのだ。
決して舐めていたつもりはない。
1年生2人の印象が強すぎて、川上の印象は薄かった感は否めない。
あまり経験のないサイドスローの投手に、西浦打線は思いのほか戸惑った。
その結果が9回のこの点差だ。

オレのリードもまだまだだ。
阿部は捕手としても、反省すべき点を痛感した。
青道のように何人も投手がいれば、交代させることで流れを変えられる。
ガラッと違う投球をされれば、なかなか慣れないものだ。
だが西浦は三橋しかいない。
だからこそもっと考えなければならないのだ。
ピンチの時に流れを変えられるような配球を工夫しなければ。

そういう意味で、今日の試合は得るものも大きかった。
阿部は三塁にいる三橋を見ながら、そう思った。
青道なんて強豪と試合を組めたのは幸運だった。
死力を振り絞った勝負だから、いろいろと学ぶことができる。
そして最後、勝利で飾れれば言うことなし。
ここまで頑張った三橋を、何としても勝たせたい。
そしてバッターボックスは、我らが4番田島様だ。

このままでは終わらせてくれるなよ!
阿部はベンチの中で、ただただ声を張り上げていた。
今、阿部にできることはもうそれしかないのだ。
まずは同点、そして逆転。
そして田島のバットは、川上のボールを捕えた。

「やった〜!」
「回れ!走れ!」
三橋と泉は全力で塁を蹴り、田島もバットを捨てて一塁へ走る。
西浦ベンチは一気にわき返り、全員が全力で叫んでいた。
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