「おお振り」×「ダイヤのA」

□再び合同練習、その8!
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「青道の4番がスクイズなんか、すんなよな!」
阿部はバッターの御幸に、小さく悪態をつく。
だか御幸は素知らぬ顔で「関係ねーし」と答えた。

西浦対青道の練習試合。
5回で2対1だった試合は、8回が終わった時点で4対3になっていた。
両チームとも2点を追加し、点差は1点のまま。
このまま西浦が大金星をあげるのかと、誰もが思い始めていた。

だが9回表にドラマは起きた。
倉持が出塁して、小湊の3塁打で1点追加。
さらに4番御幸がスクイズして、小湊が本塁を踏む。
結局2点追加で、青道が逆転した。
それが決勝点となり、5対4で青道高校が逆転、勝利したのだった。

「ごめん、オレ」
三橋がマウンドを降りながら、静かにそう言った。
だが阿部は「あやまるなよ」と、三橋の言葉を遮った。
三橋はよく投げた。
向こうは沢村、降谷、川上の投手リレーだが、三橋は9回まで1人で迎え撃ったのだ。
しかも甲子園出場校。得るものは大きかったはずだ。

「悔しいな。ここまでしても、届かねーんだから」
阿部は三橋にそう告げると、三橋も「くや、しい!」と叫ぶ。
どんなに頑張ったって、負ければ悔しい。
データを駆使して、万全で臨んだのに、あと1歩、どうしても届かなかったのだから、尚更だ。

「公式戦で当たったら、絶対勝とうな!」
阿部は三橋の肩に腕を回すと、力強くそう言った。
三橋は「次こそ負けない!」と叫ぶ。
そして阿部がミットを外した左手を掲げると、三橋が右手を合わせた。

「頼りにしてるぞ!」
2人のやり取りを聞いていた田島が、三橋の背中を叩いた。
他の西浦の選手たちも「次は絶対」と気勢を上げる。
こうして合同練習のしめである練習試合は、幕を閉じたのだった。
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