「おお振り」×「ダイヤのA」

□さらに後日談、その5!
1ページ/3ページ

この青空〜♪輝く瞳〜♪曇らせたくない、疾走れ!ミライ〜♪
沢村と三橋は大きな声で歌いながら、元気よく歩いていた。

有り金全部を食事に使ってしまった沢村と三橋。
彼らが次に考えたのは、何とか帰り着くことだ。
だが電車に乗れない以上、考え付く手段は歩くことだけだった。

2人とも電車で1時間強の時間がかかる。
だが残念なことに、徒歩に換算したら何時間かかるなんて計算はできない。
まぁ一晩歩けば、朝までに着くんじゃない?
そんな大雑把な感じで、2人は歩き出したのだ。

とりあえず目指すのは、青道の寮だ。
これまた同じ東京都なので、そっちの方が近いだろうという大雑把な考えからだ。
実は三橋の家と青道の寮だと、わずかに三橋宅の方が距離が短い。
だが2人はそんなことなど、少しも疑わなかった。

この青空〜♪輝く瞳〜♪曇らせたくない、疾走れ!ミライ〜♪
沢村と三橋は大きな声で歌いながら、元気よく歩いていた。
歌っているのは、人気の野球漫画のアニメ版主題歌だ。
とりあえずテンションが上がる。
そしてワンコーラス歌い終わっても、沢村の勢いは止まらない。

普段はこの時間、練習してるんだ。
降谷もノリ先輩も、今頃練習していると思うと、焦るぜ!
沢村は今の気持ちを、正直に語った。
そう、今夜はさすがに練習ができそうにない。
1日でエース争いに決定的な差が出るとは思わないが、やはり落ち着かない。

すごい!ライバル、だ!
三橋は素直に感激し、これまた元気よく応じた。
球数を制限され、家での練習を禁じられている三橋には、羨ましいのだ。
それに投手が何人もいて、日々競い合っている環境もカッコいいと思う。

そう、ライバルだよな。
ちなみにオレとお前も、ライバルっちゃライバルだ。
だけどそれ以上に、親友だけどな!

三橋の賛辞に気をよくした沢村が、そう告げる。
すると三橋は「おおお!しん、ゆう!」と歓喜の声を上げた。
今まで三橋にそんなことを言ってくれた人間は、他にいなかったのだ。

そして沢村もまた三橋のリアクションを快く感じていた。
学校でも寮でも、沢村本人は意識していないが「いじられキャラ」なのだ。
こんな風に沢村の言葉に全力で感激する人間は、実は今までいなかった。

なぁ、次、何歌う?
気をよくした沢村は、三橋にそう問いかける。
すると一瞬小首を傾げて考えた三橋は「パーフェクトヒーロー!」と答えた。
これまた有名な野球漫画のテーマソングだ。
次へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ