「おお振り」×「ダイヤのA」

□後日談、その2!
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「せん。。。何で読むんだ?」
携帯電話の画面を読んでいた沢村が文句を言う。
すると頭上から「せんだ、だよ」という声が聞こえて、思わず飛び上がった。

青道と西浦との合同練習で、一番仲良くなったのは、沢村と三橋だった。
テンションの高い沢村と、何となくビビりな三橋。
正反対に見えるが、なんだかうまが合ったらしい。
残念ながら東京と埼玉、しかも練習漬けの毎日なので、早々会うことはできない。
だがアドレスを交換しており、時々メールのやり取りをしている。
2人とも向上心の強い投手なので、話題はほとんど全部野球だった。

夜、食事を終えた後、屋内練習場の横のベンチに腰掛けた沢村は、携帯電話を取り出した。
これから自主練をしようとしたちょうどその時、メールの着信音が鳴ったからだ。
沢村は「お、三橋」と独り言ちた。
ここ最近、幼なじみの若菜よりも着信が多い相手だ。

今日は、県大会の抽選会でした。
初戦の相手は、千朶高校です。
三橋からのメールの文面に沢村は首を傾げた。

「せん。。。何で読むんだ?」
携帯電話の画面を読んでいた沢村が文句を言う。
すると頭上から「せんだ、だよ」という声が聞こえて、思わず飛び上がった。
いつの間にか沢村の横に立ち、携帯を覗き見ていたのは御幸だった。

「強いんすか?っていうか、覗かないで下さいよ!」
「強いよ。実力的には埼玉ナンバーワンはARCで、その次くらいだ。」
「ナンバーワンの、次」
「西東京に置き換えたら、ARCが稲実で、千朶がウチって感じじゃね?」
「おおお!ウチかぁ!」

御幸の例えに、沢村のテンションが一気に上がった。
そしてあの練習試合を思い出したのか「負けねーぞ、三橋!」などと声を上げる。
御幸は「バカ、例えだ、例え!」と爆笑した。
まったく沢村のバカさ加減は、予想がつかない。
それが見ているだけで面白く、飽きないのもまた沢村なのだ。
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