「おお振り」×「ダイヤのA」

□3日目、試合終了!
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9回裏、大詰めの攻防。
三塁塁審のコールを、全員が固唾を飲んで見つめていた。

本塁を踏んだ三橋は、同じく続いてホームインした泉と共にそのまま打った田島の走塁を見ていた。
際どいタイミングで滑り込んだ田島と、捕球しタッチした金丸が三塁塁審を見る。
アウトなら試合終了、セーフなら逆転へとつながる。
9回裏、大詰めの攻防。
三塁塁審のコールを、全員が固唾を飲んで見つめていた。
次の瞬間、シンと静まり返ったグラウンドに響くコールはアウト。
つまり6対6の引き分けで、この試合は決したのだった。

「終わった、のか。。。」
三橋は呆然とその場に立ち尽くしていた。
届かなかった。相手は強豪、青道高校。
だが向こうはこちらのデータを一切持たないというハンデつきだった。
練習試合だなんて思わず、本番のテンションで全力でのぞんだ。
そして最後の最後、あと少しで掴めると思った勝利は、手をすり抜けて落ちてしまったのだ。

「三橋、整列だ」
ベンチから出て来た阿部が、三橋の肩を叩く。
だけど笑顔はない。
三橋と阿部だけでなく、西浦の全員が。
そして青道の選手たちにも笑顔がなかった。

「延長、やりましょうよ!」
グラウンドの外からそんな声を上げているのは、沢村だった。
それに反応した青道高校の選手たちも「そうだよな」などと呟いている。
やはり引き分けでは納得がいかないのだろう。
それは三橋も同じなのだが。

三橋はきつく唇を噛んだ。
今日は球数こそさほど多くないが、オーバーペースだった自覚はある。
それに昨日からの連投なのだ。
本能は投げたいと訴えているが、理性は投げない方がいいと告げている。

「よく投げた。ここまでだ。」
阿部が手を伸ばすと、ガシガシと乱暴に三橋の髪をかき回した。
他の仲間たちも「ナイピッチ!」「よく投げた!」と声をかけてくれる。
三橋は「うん!」と力強く頷くと、整列のためにホーム前に並んだのだが。

「ちゃんと勝負、つけましょうって!何ならオレ、投げるっす!」
相変わらず沢村の声が響き、青道の選手たちはベンチ前で固まっていた。
もしかして延長やるのかな?
三橋はぼんやりとそう思った。
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