「おお振り」×「ダイヤのA」

□3日目、試合終盤!
1ページ/3ページ

やっとかよ。
ホームベースを踏んだ御幸は、大きく安堵のため息をついた。

西浦高校との練習試合はついに9回に突入した。
8回が終わった時点で5対4、青道が1点リードしている。
御幸はヒットが1本、四球が1回。
だが点数には結びついていなかった。

ったく、こりゃ後で説教されそうだな。
御幸はチラリと片岡の横顔を盗み見て、そう思った。
三橋がオーバーペースで投げているのは、もはや間違いない。
だが少しも手を緩めることもなく、渾身の投球を続けている。
青道打線はポツポツと点を取れてはいるが、爆発という感じにはなっていなかった。

しかも降谷は5回で降板だ。
これは予定通りではなく、今日は行けるところまで降谷で行こうと思っていたのだ。
だが降谷は三橋の投球に影響されたのか、調子が悪かった。
それに配球を読まれて打たれたと思われるヒットも何本かある。
御幸にしてみれば、うまく波に乗らせてもらえないようなもどかしさがあった。

そして9回、御幸はネクストバッターズサークルで打席を待った。
御幸の前の3番、前園は最後の打席と力んだのか、三球三振に終わった。
さて自分の番だと力んだ大振りだ。
沢村が「何やってんすか!」と叫んでいる声が聞こえた。

うるせーし。
バッターボックスに向かおうと立ち上がった御幸は、沢村が両手でフェンスを握りしめているのを見た。
あのバカ、投手の手を何だと思ってる!
慌てて声を上げようとする前に、クリスが沢村に何かを話しかける。
すると沢村はフェンスから手を離して「あざっす!」と頭を下げた。
クリスが御幸より先に注意してくれたのだろう。
だがホッとする気持ちと同じだけ、何とも微妙な気分になった。

あいつ、俺よりクリス先輩になついてるもんな。
御幸は苦笑しながら、打席に入る。
皮肉なもので、何だかうまく力が抜けた。
思い切り振ったバットは打球を捕え、見事にバックスクリーンに消えていく。
ダメ押しのソロホームランだ。

やっとかよ。
ホームベースを踏んだ御幸は、大きく安堵のため息をついた。
これで2点差、この裏の西浦の攻撃を押さえれば勝ちだ。
次へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ